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質量分析計「LAMS-50K」が「IEEE Milestone」に認定

June, 3, 2024, 京都--島津製作所のレーザーイオン化質量分析計「LAMS-50K」(1988年2月発売)が、電気・電子分野の国際学会The Institute of Electrical and Electronics Engineers(以下IEEE) により「IEEE Milestone」に認定された。
認定の理由は「ソフトレーザ脱離イオン化技術を応用した世界初の製品で、分子生物学や医学などの分野に貢献し、新たな診断や創薬へと繋がった。装置開発者の1人である田中耕一は、2002年にノーベル化学賞を受賞した」になる。「IEEE Milestone」は「誕生から25年以上を経た重要な技術業績」を称えるものである。日本に関連した過去の認定実績は、指向性短波アンテナ、黒部川第四発電所、東海道新幹線、20インチ光電子増倍管、QRコードなどが挙げられる。なお今回の「IEEE Milestone」贈呈式は、本年11月に京都市で開催予定である。

「LAMS-50K」は、島津製作所で1984年10月に始まった「レーザイオン化法による高質量イオンの生成とその測定技術」の研究開発で生まれた複数の要素技術で構成されている。1つ目の技術は、ソフトレーザ脱離法(当社エグゼクティブ・リサーチ フェロー田中耕一のノーベル化学賞受賞の対象)によるタンパク質のような巨大分子を壊さずにイオン化する方法。2つ目が、低分子から巨大分子までを高精度に分離する、傾斜電場リフレクトロンによる飛行時間型質量分離技術(TOF-MS、Time-of-Flight Mass Spectrometry)。3つ目は、巨大な分子イオンを電気信号に効率的に変換する後段加速検出器(PAD、Post Acceleration Detector)。4つ目は、刻々と変化するデータを高い時間分解能で高速に信号を積算するためのTDC(Time to Digital Converter)回路およびADC(Analog to Digital Converter)回路。これらすべてが揃うことで、それまで不可能と考えられていた巨大なイオンの質量分析を実現した。

「LAMS-50K」は1990年に米国の医療研究機関City of Hopeに納入され、癌などの疾患の研究に用いられた。同製品の発売が「レーザ照射によってタンパク質などを質量分析で調べる手法」の普及の契機となった。

(詳細は、https://www.shimadzu.co.jp