Coherent、より優れたレンジファインダーレーザ

February, 15, 2024, Saxonburg--Coherentの140Wダイオードレーザは、ハンドヘルド距離計の範囲とバッテリー寿命を延ばす。

レーザは、何十年にもわたって距離測定ツールとして使用されてきた。早くも1962年、MITの科学者たちは、地球からの距離を測定するために、月から高出力のルビーレーザパルスを反射させた。1969年、Apollo11の宇宙飛行士は、Lick Observatoryの天文学者が月の距離をさらに正確に測定するために使用した再帰反射器アレイを月に残した。これらのリフレクタは、現在でも地球上のレーザで使用されている。

今日では、スマートフォンやウェアラブルフィットネスデバイスをもたらしたマイクロエレクトロニクスの小型化により、レーザベースの距離計もハンドヘルドデバイスに縮小されている。レーザベースの距離計は、数百メートルの範囲でポイントまでの距離を測定でき、ゴルフ、アーチェリ、狩猟などのスポーツで使用される。また、建設、土木、製造などの商用アプリケーションにも見られる。製造業では、レーザを使用した距離の測定は、製品が一貫して高精度の基準に従って組み立てられるようにするために不可欠である。

より優れた距離計レーザの構築
距離計システムは、通常、ダイオードレーザまたはファイバレーザベースである。ダイオードレーザは、小型、軽量、堅牢で、電気効率が高く、通常は他のレーザ光源よりもコストが低いため、通常、ポータブルデバイスやハンドヘルドデバイスに適している。しかし、「レーザ距離測定」に分類されるアプリケーションは、自律走行車用のスキャンLiDARシステムからゴルファー用の距離計まで、様々なものがある。これらにサービスを提供するダイオードレーザの種類も同様に多様である。

Coherentは、これら全てのアプリケーション向けのダイオードレーザ(およびLiDARシステム用のファイバレーザ)を製造している。民生用距離計向けには、この市場で要求される性能、コスト、および様々な実用特性(重量やバッテリー寿命など)のバランスをとるように特別に設計されたソースを開発した。

具体的には、CoherentのSS905A13-TO-01は、トリプルジャンクション構造を特徴とする905nmの端面発光レーザダイオードである。これは、3つの別々のレーザエミッタが1つのチップ内に緊密に統合され、統一された光源として機能することを意味する。

このトリプルジャンクション構成により、同等のサイズと電気的特性を持つ従来のシングルジャンクションダイオードレーザと比較して、最大140Wのピークパワーという大幅に高い出力が得られる。このアプローチは、間隔の狭いレーザ接合部によって高熱が発生するため、連続または高デューティサイクルのパルス動作には適していない。しかし、レーザが短時間しか作動しない距離検出など、短パルスで低デューティサイクルのアプリケーションには理想的である。

CoherentのSS905A13-TO-01は、距離計用に設計された競合ダイオードレーザに比べて、トリプルジャンクション構造を採用しているものでも、複数の利点がある。たとえば、SS905A13-TO-01は、競合製品よりも最大10%効率的である。これにより、バッテリ寿命が延び、製品エンジニアは電源とデバイスの「パッケージング」に関する考慮事項に柔軟に対応できる。

さらに、Coherentレーザは、温度変化にさらされても優れた出力安定性を示す。これにより、動作環境が大きく変化した場合でも、正確で信頼性の高い測定が保証される。

905nmとする理由
民生用アプリケーションのほとんどの距離計とLiDARシステムは、905nmまたは1550nmで動作する。Coherentは、これらの波長(および他の多くの波長)のダイオードレーザを製造しているが、距離計には905nmの方が費用対効果が高いと考えている。

その理由の1つは、1550nmレーザはInPを使用して作られ、905nmのレーザはGaAsから作られていることである。InP基板と製造はGaAsよりもコストがかかるが、GaAsチップの電力変換効率は45%であるのに対し、InPコンポーネントは10%未満である。これらの要因により、905nmダイオードの価値は競合製品と比較して向上する。

検出器などの905nmレーザのサポートコンポーネントは、製品の価格に直接影響する追加のコスト上の利点を提供する。これは、905nmレーザが広く入手可能な(安価な)CMOSシリコンで作られた検出器を使用できるのに対し、1550nmレーザははるかに高価なInGaAsベースのコンポーネントを必要とするためである。

距離計は、LiDAR、スマートフォン、VRヘッドセット、建築・建設などの産業市場を対象とした消費者向けデバイスなど、様々な製品で使用が拡大しているレーザベースのセンシング技術の1つにすぎない。Coherentは、これらのアプリケーションの実用化に必要な価格と性能を兼ね備えたレーザやその他のフォトニックコンポーネントの開発に引き続き取り組んでいく。これは、半導体材料、レーザ、光学系における独自の能力の組み合わせを活用することで実現している。