November, 13, 2023, 東京--ソフトバンク株式会社(ソフトバンク)は、環境負荷の少ない通信インフラ構築を目指したネットワークのグリーン化のために、富士通株式会社(富士通)の次世代光伝送装置「1FINITY Ultra Optical System T900」(以下、「1FINITY T900」)をはじめとする、オープンネットワークに対応したディスアグリゲーション型光伝送システムによるAll optical networkのコア領域での全国展開を10月26日に完了した。
今回、ソフトバンクが全国展開を完了したAll optical networkは、通信ネットワークの全ての領域に光の技術を用いている。富士通の次世代光伝送システムを用いたAll optical networkは、All optical技術対応機器との接続および水冷トランスポンダ技術の適用により、消費電力を従来比最大90%削減した。また、従来型設備との接続時も、最新の光電変換技術により従来比(注2)約50%の低消費電力化を実現し、あらゆる接続環境で高い電力効率を発揮できる環境配慮型ネットワークである。また、通信性能の向上も図り、1対の光ファイバを用いて、従来の約2倍となる最大48.8Tbpsの大容量・高速伝送も実現している。
ソフトバンクは、次世代光伝送システムの導入により、今後のBeyond 5G(第5世代の次の世代の移動通信システム)/6G(第6世代移動通信システム)を見据えて、増え続けるデータ通信の需要を満たしながら、カーボンニュートラルを実現するネットワークの構築を目指す。
今回導入の光伝送システムの主な特長
1. All optical networkとIPネットワークの融合
ソフトバンクのIPルータに、長距離伝送可能なコヒーレント型光トランシーバー(DCO)を搭載し、ソフトバンクの要件に合わせて今回富士通が新規開発した「1FINITY L211」を用いて接続することで、光伝送システム内での光電変換を一切行わずに、All optical接続を可能にした。これにより、従来比最大90%の消費電力削減を実現した。また、一般的なAll optical networkで課題となるルーティングのスケール(拡張性)については、ソフトバンクのSRv6(セグメントルーティングIPv6)などのIPネットワーク技術を活用することで、柔軟なネットワークを実現している。
2. クローズドループ型水冷技術の導入
All optical接続が難しい既存機器との接続においても、大幅な環境性能の向上を図るため、富士通の「1FINITY T900」では、世界で初めて光伝送システムに水冷トランスポンダ技術を適用した。これにより、冷却効率は従来の空冷システムと比較して2倍となり、2RU(Rack Unit)サイズの筐体に最新のコヒーレントデバイスを12基搭載することで、400GbEを36本収容可能とし、ソフトバンクが従来使用している機器と比較し、収容密度を4倍に向上、消費電力を約50%削減した。また、冷却構造を全て装置内に収めるクローズドループ型とすることで、ファシリティの改修を不要にし、期待寿命20年の高信頼性とメンテナンスフリーのシステムを実現した。
3. ディスアグリゲーション型C+L ROADMアーキテクチャーの採用
従来装置では、CバンドまたはLバンドのいずれかを使用していたが、今回両方を同時に使用することで、1対の光ファイバ当たりの帯域を従来の約2倍に拡張した。また、ディスアグリゲーション型C+L ROADMアーキテクチャにより必要に応じたシステムアップを可能とし、Cバンドのみで開通後、後からLバンドを追加することができ、通信トラフィック需要に応じた柔軟な機器の構成が可能となる。不要な機材を初期搭載することなく、低消費電力で投資効率の良い柔軟なネットワークを実現している。
(詳細は、https://pr.fujitsu.com)