November, 13, 2014, Tokyo--NECは、情報通信研究機構(NICT)の委託研究により、テラヘルツ(THz)アレイセンサの新画素構造を開発し、0.5~0.6THz付近において、同社比約10倍の最小検知パワーの向上を実現した。
NECは今まで画素数320×240のアレイセンサ搭載THzカメラを製造・販売している。今回4倍の画素数の640×480アレイセンサの製造技術を開発し、同アレイセンサを搭載したカメラを開発した。この画素数は、THzの周波数領域では世界最大の画素数。さらに、隣り合うピクセル同士をまとめる4×4のピクセルビニング処理により信号雑音比を更に4倍に向上させ、新画素構造の効果と合わせて最小検知パワーを約40倍に向上し、室温動作の2次元アレイセンサとしては同周波数領域で世界最高感度を実現した。
感度向上と高画素化の概要
(1)NEC従来製品よりも低周波側の性能向上を図るため、読出回路上の反射膜と画素の上部にある THz 吸収膜(金属薄膜)の間で形成される光学的共振構造の光学的間隔を従来の値 3~4μm から約 15μm に広げる製造技術を開発。
(2)その結果、0.5~0.6THz の周波数(波長 500~600μm)において、最小検知パワーを約1桁向上させることに成功。
(3)長波長の電磁波の検出であることを考慮して、4×4 のピクセルビニングにより信号雑音比を更に4倍向上させ、(2)の効果と合わせて約 40 倍の最小検知パワーの向上を達成。
(4)画素数を従来の 320×240 画素から 640×480 画素に拡大する製造技術を開発。
(5) その結果、同社比で4倍広い視野のテラヘルツイメージングが可能であることを実証