October, 16, 2014, Tokyo--日立製作所(日立)は、強い外光下においても、高い視認性を実現する小型ヘッドマウントディスプレイ向けの光学エンジンを開発した。
この技術は、保守点検などの両手を使う屋外での現場作業において、視覚的に情報を伝達し、作業・行動を支援するシステムなどへの応用が期待される。日立は、今後、さまざまなユーザーと実証実験を行い、製品化に向けたヘッドマウントディスプレイの技術開発を行う。
保守点検などの屋外作業での活用を考えた場合には、長時間連続使用が可能なことや強い外光下でも視認が可能な明るさを実現する必要がある。これまでは、光学エンジン内にある光源のLEDから発した赤・青・緑の光を拡散板で拡散させ、混ぜ合わせることで、画面の色合いや明るさを均一にしていたが、目以外の方向にも光が逃げてしまうため、画面が暗くなるという課題があった。
日立は、LEDが発した光を閉じ込めながら混ぜ合わせることで、視認性の高い光学エンジン技術を開発した。これにより、従来の拡散板を使用した技術に対して、約8倍の光利用効率となる輝度8,000cd/m2を低消費電力で実現し、外光下でも高い視認性を可能とした。この光学エンジンを搭載したヘッドマウントディスプレイを使用することで、屋外でも視覚的に作業内容を伝え、作業の効率化と確実性の向上を両立することなどが可能となる。
開発した技術の特長
(1) 導光路のトンネル形状と微粒子レンズによる光の損失低減と色合い・明るさの均一化
光の通り道となる導光路自体をトンネル形状にすることで、全反射による光の閉じ込めを行うとともに、多数の粒子状のレンズを入れ、光を屈折・拡散させて混ぜ合わせた。これにより、光の損失を抑えつつ、色合いや明るさを均一にすることが可能となる。
(2) 非球面型レンズによる光の損失低減
画面を明るくするためには、より多くの光を目に届ける必要がある。日立は、導光路から出射した光を平行なビーム状にする、特殊な形状をした非球面型の専用レンズを開発することで、光の損失を抑えた。
製品化について日立は、「今後は、本技術による光学エンジンを搭載したヘッドマウントディスプレイの開発を行っている日立エルジーデータストレージ(HLDS)と協力し、ユーザーと実証実験を重ね、製品化に向けた技術開発を行っていく」と説明している。