November, 2, 2022, 京都--島津製作所は11月1日に、位相コントラストX線CTシステム「Xctal5000」を国内外で発売した。 製品は、一度の撮影でX線の吸収像・散乱像・屈折像という3種類の画像を撮影可能な、国産初の位相コントラストX線CTシステム。
物質を透過するX線の散乱・屈折を可視化する「X線位相コントラスト」により、X線の吸収を可視化する「X線吸収コントラスト」を用いる従来のX線CTシステムでは困難だった対象物(ワーク)も観察できる。繊維強化樹脂(FRP)や複合材料、生体材料などの研究開発に貢献する。
X線CTシステムは、X線発生装置と検出器の間で回転するワークにX線を照射することで、その内部を3次元で観察・撮影する装置。非破壊で観察できるため、品質管理や研究開発で使われている。
新製品は、回折格子を使用した新方式(X線位相イメージング技術)の採用により、「散乱像」および「屈折像」が撮影可能。「散乱像」ではワーク内部の細かい傷や繊維束の流れを広視野で撮影でき、CFRPなど新素材の製造方法の研究での利用が見込まれる。また「屈折像」により吸収係数が近い材料間でも密度差が一定量以上あれば高コントラストで撮影できることから、樹脂新素材や生体軟組織の観察などでの利用も可能。
新製品の主な特長
1. 広い視野と微細構造の観察を両立
従来、「吸収像」で微細な構造を観察する際は「高拡大撮影が必要で視野が狭くなる」「ワークを小さく切断しなければならない」という課題があった。新製品は「散乱像」を用いて、内部の細かい傷や繊維束の流れといった微細な構造群を観察できる。最大100mmという広視野を持つため、ワーク全体から細かい傷などの有無や位置に見当を付けられる。撮影回数を重ねたりワークを切断したりする必要がない。
2. 2種の高コントラスト観察を実現
吸収係数の差を可視化する「吸収像」に加えて、密度差を可視化する「屈折像」による観察も可能。今までコントラストが付きづらかった材料間でも高コントラスト観察が可能となり、観察の幅が広がる。
(詳細は、https://www.shimadzu.co.jp)