September, 18, 2014, Sendai--東北大学金属材料研究所の青木大教授の研究グループと日本カンタム・デザイン株式会社は、室温から絶対零度近くの極低温(0.1 ケルビン、–273℃)まで、世界最速で冷却できる物性測定用冷凍機(ADR、断熱消磁冷凍機)を共同開発した。
通常の冷凍機とは異なり、磁気を用いて冷却する方法であり、従来の50〜100 倍の冷却速度。低温寒剤であるヘリウム資源の枯渇が叫ばれる中、簡便、安価に極低温を得る冷凍機として今後多くの需要が見込まれる。また、極低温を短時間で得られることで、新奇超伝導体の物質開発、磁性材料の開発などにつながるものと期待される。
今回、共同で開発した冷凍機は、物質の磁気的性質を巧みに利用した簡便、安価な冷凍機。クロムミョウバンを冷凍材料として用いて、「磁気熱量効果」により極低温を得る方法。
冷却は以下の手順で行なわれる。米国カンタム・デザイン社製 PPMS(物理特性測定システム)を用いて、2 ケルビンまで磁場中で予備冷却を行なう。その後、ADR を断熱状態で磁場を下げることで 0.1 ケルビンの極低温を得ることができる。室温から最低温度の 0.1 ケルビンまで 2 時間以内に到達することができる。物性測定用の冷凍機としては世界最速であり、これは従来の冷凍機の 50~100 倍の速さ。従来の冷凍機と比べて、機械的な動作が不要であり原理が単純なため、故障もなく半永久的に使える冷凍機。
磁気冷凍技術は、環境に優しい次世代冷凍技術として、東芝、中部電力によって室温で動作する冷凍機試作品にも用いられている。今回、極低温で操作する冷凍機は、いわば『コロンブスの卵』のような発想であり、米国カンタム・デザイン社製 PPMS と組み合わせることでパソコンのクリック一つで室温から 0.1 ケルビンまで短時間に冷却する技術が開発された。
(詳細は、www.tohoku.ac.jp)