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インテルラボ、フォトニクス集積研究の前進を発表

July, 4, 2022, Santa Clara--インテルラボは、データセンター内のコンピューティング・シリコンとネットワーク全体をつなぐ通信帯域幅の拡大に向けた次のフロンティアである「フォトニクス集積」の研究における、大幅な前進を発表した。
 この最新の研究の特徴としては、1つのシリコンウエハー上に完全に統合され、業界の仕様を上回る±0.25デシベル(dB)の極めて高い出力電力の均一性と±6.5%の均一な波長間隔を実現する、8波長分布帰還(DFB)レーザーアレイのデモを含めた、業界最先端を進む多波長集積光モジュールにおける進歩が挙げられる。

「この新たな研究は、均一な間隔かつ高密度で波長を配置することで、出力電力の均一性を十分に維持することが可能であると証明している。最も重視すべきは、インテルの工場で行っている既存の製造とプロセス管理でこれを実現できること、つまり次世代のコパッケージド・オプティックスと光コンピューティング・インターコネクトの量産を大規模に進めていく明確な道筋が確保されている点である」(Haisheng Rong, senior principal engineer at Intel Labs)

発表の意義:この進歩によって、人工知能(AI)やマシンラーニング(ML)などネットワーク負荷の高い新たなワークロード向けのコパッケージド・オプティックスや光コンピューティング・インターコネクトを含め、フォトニクスの光源を将来的な量産アプリケーションに必要なパフォーマンスで製造できるようになります。このレーザーアレイは、インテルの300mmシリコン・フォトニクス製造プロセスで設計された。これは量産と広範囲への導入を促進する技術である。

重要な理由:1980年代に、銅線から置き換わり、光接続が用いられるようになった。これは、金属ケーブル経由で伝送される電気インパルスにはない、光ファイバに備わる広帯域という光伝送の特性によるものです。その後、部品のサイズとコストを抑えられることから、このテクノロジーの効率性はさらに向上し、スイッチ機器からデータセンタ、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)環境まで、ネットワーク・ソリューションでの光インタコネクトの利用はここ数年で大幅に広がっている。

電気インタコネクトの性能面での限界が指摘される中、シリコン回路と光パスを同一パッケージ内に並べて実装することで、電力効率が向上し伝送距離が拡大した将来的なI/Oインターフェイスになると期待されている。こうしたフォトニクス・テクノロジーは、インテルの工場施設内で既存のプロセス技術により開発された。大規模な製造に有利なコスト削減にもつながる。

高密度波長分割多重化(DWDM)技術を使用する最新のコパッケージド・オプティックス・ソリューションは、帯域幅の拡大に加え、フォトニクス・チップの物理的なサイズを大幅に縮小できると見込まれている。しかし、これまで均一の波長間隔と出力電力でDWDM光源を製造することは、簡単ではなかった

今回の進歩によって、均一の出力電力を維持しながら、一定の波長間隔で光源を分離することが可能になり、光コンピューティング・インタコネクトとDWDM通信に求められる要件の1つを満たす結果となっている。光インタコネクトを備えたこの次世代のコンピューティングI/Oは、AIやMLの広帯域幅ワークロードで求められる高度な要件に合わせ、カスタムメイドが可能。

実現する仕組み:8波長DFBアレイは、インテルの商用300mmハイブリッド・シリコン・フォトニクス・プラットフォームで設計および製造された。このプラットフォームは、光トランシーバの量産製造に使われてきたものである。このイノベーションは、厳密なプロセス制御下で300mmシリコンウエハーを製造するのと同じリソグラフィ技術を採用することで、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)の大規模製造工場内で量産レーザの製造容量を大幅に引き上げる、画期的な進歩と言える。

インテルはこの研究で、まずシリコン内の導波路回折格子の定義に高度なリソグラフィー技術を、次にIII-V族ウエハー・ボンディング接続プロセスを使用した。この手法が、3~4インチのIII-V族ウエハー工場で製造される従来の半導体レーザと比較して、波長の均一性を高める結果へとつながっている。さらに、レーザを高密度集積することで、周辺温度が変化した場合でも、アレイがチャネル間隔を維持することが可能になっている。

次のステップ:インテルはシリコン・フォトニクス技術の先駆者として、ネットワーク・インフラストラクチャの効率化と柔軟な処理能力に対する高まるニーズに応えるソリューションの開発に努めている。現在開発中のコア技術となるビルディング・ブロックには、光の生成、増幅、検出、変調、CMOSインターフェイス回路、パッケージ統合テクノロジーなどが含まれる。

また、8波長集積レーザレイ技術が持つ多くの側面は、将来的に提供される光コンピューティング・インタコネクト・チップレット製品の一部として、インテルのシリコン・フォトニクス製品部門が構築している。まもなく発売となる製品は、CPU、GPU、メモリーなどのコンピューティング・リソース間を1秒当たり数テラビットの速度で接続する、電力効率の高い高性能なインタコネクト。この高集積レーザレイは、量産製造と大規模導入を支え、コンパクトでコスト効率の高いソリューションを実現する重要な要素となっている。
(詳細は、https://www.intel.com)