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微量元素と各種化合物の複合解析が可能なイメージングシステムを発売

November, 9, 2020, 京都--島津製作所は、微量元素および各種化合物それぞれの分布情報を取得し、複合的に解析可能な「マルチモーダルイメージングシステム」を発売した。同システムは、元素の分布情報取得が可能なレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置(LA-ICP-MS)、化合物の分布情報取得が可能なイメージング質量顕微鏡、両装置で取得したデータを統合的に解析できる質量分析イメージ解析ソフトウェア「IMAGEREVEAL MS」で構成されている。生体内での金属の機能や代謝機構に関する、より正確な情報を取得できる。

島津製作所は「マルチモーダルイメージングシステム」を通じてライフサイエンス分野における病気の発症メカニズム解明や治療薬開発への貢献を目指している。LA-ICP-MSに関する技術は、同社の欧州イノベーションセンタおよびミュンスター大学(University of Münster)のUwe Karst博士による共同研究の成果。

レーザアブレーション(LA)は固体試料の微小領域にレーザ光を照射することで、その部分を蒸発・粒子化する技術。誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)は試料に含まれる元素の種類と含有量を測定する。両者を組み合わせたLA-ICP-MSでは、生体試料や鉱石、半導体、金属など固体試料に含まれる微量な元素の分布を調べることができる。またイメージング質量顕微鏡は、光学顕微鏡とMALDI型質量分析計を組み合わせた装置であり、生体試料に含まれる薬効成分など各種化合物の分布を可視化する。

マルチモーダルイメージングシステムの特長
1. 相補的なイメージング技術の融合
イメージング質量顕微鏡では有機化合物の分布情報が取得できるのに対して、LA-ICP-MSでは金属など微量元素の分布情報を得られるとともに定量性に優れている。相補的な技術を合わせることで、より多くの情報による高度なイメージング解析が可能となる。

2. 測定試料は大気圧下にセット可能、さらに高い空間分解能
イメージング質量顕微鏡とLA-ICP-MSの測定試料はいずれも大気圧下の試料室にセットされるため、水分を含む生体試料でも容易に測定できる。また、数µm~数十µmの空間分解能を持ち、微小領域における対象成分の分布評価に最適。

3. 統合解析ソフトウェアによる高度な解析
統合解析ソフトウェア「IMAGEREVEAL MS」は、簡単な手順で時間や手間をかけずにイメージング質量顕微鏡とLA-ICP-MSのイメージングデータを多様な観点から解析する。両者のデータを特別な変換無しで取り込み、すぐに解析できる。
(詳細は、https://www.shimadzu.co.jp)