June, 6, 2016, Dresden--フラウンホーファーIPMSの研究チームは、単一レンズを通したマルチディテクタを使用することで2つのスペクトル領域の調和画像を生成する高解像度カメラを開発した。
既存のマルチスペクトルイメージングシステムと異なり、この技術はローコストで構成でき、イメージングデータの後処理が大幅に簡単になる。
アプリケーションが何であれ、高帯域スペクトルイメージングは好まれる。可視光域に加えて、数µm以上の赤外波長には特に関心が強い。可視光域では得られない情報を提供するが、ビルのサービスエンジニアリング、現場モニタリング、エレクトロニクス製造の品質制御など多くのアプリケーションで非常に有用である。
現在、市場で入手可能なシステムは、様々なスペクトル領域に適用できるオプティクス、材料、コンポーネントを個別に利用している。従来のガラスは、赤外スペクトル領域で透明でないので、レンズは高価な半導体材料で造られていることが多い。また、多様な方向からのマルチカメラを用いて撮った画像は常に視差の影響下にある。これは複雑な後処理になり、多様なカメラで提供される画像データの精密な分類が必要になる。
フラウンホーファーIPMS事業ユニットマネージャ、Dr. Sebasatian Meyerは、「これらの欠点は、単一レンズを通したマルチディテクタを利用し調和した、視差のない画像を生成するマルチスペクトルカメラで克服できる。光学系にレンズの代わりにミラーを利用することで一般的なカメラシステムを置き換えるだけでなく、重量やスペースが重視される新しいアプリケーションを実現するチャンスも生まれてくる」とコメントしている。
研究チームは、共通レンズの背後に2つの画像センサを使う完全反射、マルチスペクトルカメラを開発した。レンズは、特殊傾斜ミラーシステムとして設計されている。その構造により、現在のシステムに起こる色収差、中心掩蔽効果を回避できる。個々のミラー表面は一部非球面に設計されていて幾何収差を補正できる。また、幅広いスペクトル範囲で高反射率を保証する適切なコーティングがされている。単一レンズを通して、多様なスペクトル範囲で視差のない同時画像を撮れることはこのアプローチの結果であり、以前の第2レンズ、画像データのきめ細かい後処理の必要性は、いずれもなくなった。反射オプティクスのスペクトル範囲の選択は、今度は利用するディテクタのみの制約を受ける。
フラウンホーファーIPMSは、最初の機能デモ製品にレンズとエレクトロニクス付イメージセンサ、ソフトウエアを統合した。