独スパコンセンタ、世界初のフォトニックＡＩプロセッサ導入

August, 19, 2025, Washington/Garching--ドイツのガルヒングにあるLeibniz Supercomputing Centre (LRZ) は、ハイパフォーマンス コンピューティングの世界初として、電気の代わりに光を使用して現実世界の AI およびシミュレーション ワークロードに取り組むために構築されたフォトニック コプロセッサのスイッチを入れた。
シュトゥットガルトに本拠を置くディープテック(deep-tech)企業であるQ.ANTによって開発された新しいネイティブ処理サーバ(NPS)は、アナログフォトニックコンピューティングをライブハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)環境に初めて導入する。

このシステムの中心となるのは、Q.ANT 独自の Light Empowered Native Arithmetics (LENA) アーキテクチャであり、アナログ光ベースの計算を使用して複雑な AI 推論、画像認識、科学シミュレーションを処理するように設計されている。電子信号に依存して大量の熱を発生する従来のデジタル システムとは異なり、フォトニック プロセッサは熱を発生せずに動作を実行するため、超低消費電力と高計算密度が可能になる。

LRZでの初期のテストでは、エネルギー効率と速度の劇的な向上が示唆されている。Q.ANT によると、このシステムは、従来のプロセッサと比較して、同じジョブでワークロードあたりの消費電力を最大 90 倍削減し、計算密度を 100 倍向上させることが可能。NPS は、ほぼ 100% の計算精度で 16 ビット浮動小数点精度をサポートする。もう 1 つの大きな利点は、標準のコンピュータ セットアップにシームレスに統合され、PyTorch や TensorFlow などの広く使用されているソフトウェアと連携することである。

「これは、2030年までにフォトニックコンピューティングを次世代コンピュータアーキテクチャの主流に統合するための決定的な一歩である」とQ.ANTのCEO、Michael Förtschはコメントしている。「初めて、光ベースのプロセッサが実際の HPC 環境で実際のワークロード下で評価されている。」

フォトニック プロセッサの導入は、将来のコンピューティング システム向けのハイブリッド デジタル アナログ アーキテクチャを模索するために、ドイツ連邦研究技術宇宙省が資金提供する広範なイニシアチブの一環である。AI、気候モデリング、医療画像、材料科学によってコンピューティングの需要が急増する中、エネルギー効率の高い代替手段の重要性がますます高まっている。

「フォトニックプロセッサは、環境フットプリントを大幅に削減しながらワークロードを加速するための斬新で有望な道を提供する」と、LRZ取締役会会長Dieter Kranzlmüllerはコメントしている。「この展開は、エネルギー効率の高い AI とHPCを推進するという当社の将来のコンピューティング ミッションにおけるマイルストーンとなる。」

このプロジェクトは連邦政府とバイエルン州政府の両方からも強力な支援を受けており、政策立案者は国の技術主権と科学的競争力を維持する上でのフォトニクスの戦略的重要性を強調している。

LRZは次の段階に進むにつれて、追加のNPSユニットを設置し、様々なアプリケーションにわたるパフォーマンスのベンチマークを確立する。これにより、光パワーコンピューティングが将来の AI および HPC エコシステムの中心的な舞台となる道が開かれる。