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NASA、宇宙通信にUV光を使用するプロジェクト

July, 2, 2024, Washington--NASAは、宇宙通信のための紫外線を使用するプロジェクトのための750,000ドルのEPSCoR助成金を授与した。
NASAは、「過酷な環境、宇宙ベースの通信、およびリモートセンシングのためのIII-窒化物紫外線レーザダイオード」プロジェクトに750,000ドル相当のEPSCoR助成金を授与した。このイニシアチブは、特に深宇宙ミッションにおいて、衛星と地球間の高速通信を強化することに重点を置いている。

EPSCoRは、Established Program to Stimulate Competitive Researchの略。

U of Aの電気工学/コンピューターサイエンス学部准教授Morgan Wareは、このプロジェクトの主任科学研究者を務めている。アーカンソー州立大学(Arkansas State University)のRobert “Drew” Fleming共同研究者とともに、このプロジェクトはアーカンソー・スペース・グラント・コンソーシアム(Arkansas Space Grant Consortium)を通じて、主任研究者のコンスタンス・ミード(Constance Meadors)が管理している。さらに、Paul MinorがOzark Integrated Circuits Inc.の産業アドバイザーとしてチームに加わった。

「このプロジェクトの主目的は、宇宙ベースの情報伝達を無線から光の波長に変換すると同時に、紫外線を使用した将来の深宇宙リレーに目を向けることである。現在、NASAでは、非常に伝統的な無線ベースの通信から、光の変調に基づく通信に移行する取り組みが行われている。現在の取り組みでは、光ファイバ通信で使われているようなレーザが使われており、地上通信のバックボーンのほぼすべてを占めている。これにより、データ転送速度を1000倍から100万倍以上向上させることができる。ただし、これらの光信号は、空中、または衛星間通信の場合は宇宙を介して送信する必要がある」とWareは説明している。

「そのために、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaAs)、窒化インジウムなど、窒化物ファミリーの様々な合金を使って半導体レーザダイオードを製造する。この驚くべき材料群は、構造剛性、光学的透明性、過酷な環境耐性を提供するいわゆる超ワイドバンドギャップAlNから、光波長調整性と導電性を提供するいわゆるナローバンドギャップ窒化インジウムまで多岐にわたる。これらの材料の多用な組み合わせを使用して、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)の各コンポーネントをモノリシックに構築する」とWareは続けている。

長期的な焦点は通信技術の進歩にあるが、このプロジェクトは、複数の科学分野や業界にまたがる高度な半導体研究に根ざしている。このことは、技術開発におけるワイドおよび超ワイドバンドギャップ材料の潜在的な成長と重要性を強調している。

この技術が成功すれば、衛星間通信や深宇宙通信を大幅に高速化できる可能性がある。Wareによると、「非常に離れたシステムからの高速データ転送の必要性が高まっている。例えば、火星探査機からの疑似ライブビデオフィードを視聴する機能があれば、今後の火星探査の生産性が大幅に向上する見込である」。

プロジェクトの次のステップでは、半導体合金とナノ構造をシミュレーションしてテストし、亀裂や将来の劣化を防ぐために歪みのないまま、目的の波長の光を放出できることを確認する。同時に、「レーザやその他の光学部品が宇宙の過酷な環境でも効果的に動作できるようにしたいと考えている」(Ware)。

この研究成果は、人工衛星などの宇宙探査機が地球から遠ざかるにつれて、宇宙探査を根本的に変える可能性を秘めている。半導体ベースのUVレーザの開発は、データ伝送速度を大幅に向上させ、地球、衛星、遠方宇宙ミッション間の通信を高速化するだけでなく、レーザ励起を使用した衛星ベースのリモートセンシングのプラットフォームを提供し、他の惑星の大気のより複雑な化学的性質を調査できるようにする。

Wareは、材料科学と工学の大学院プログラムがあり、ほとんどの研究が行われるUofAのナノサイエンス・エンジニアリング研究所のメンバーである。また、Arkansas Power Groupのメンバーでもあり、現在、幅広/ウルトラワイドバンドギャップ半導体の研究に多額の投資を行っている。
(詳細は、https://news.uark.edu/)