小型ドローン産業、2030年までに104億ドル

February, 19, 2024, Northbrook--マーケッツ&マーケッツ(MarketsandMarkets)のレポート「小型ドローン市場:プラットフォーム別(民生用・商用、防衛用・政府)、タイプ(固定翼、回転翼、ハイブリッド)、アプリケーション、動作モード、パワーソース(フルパワー、バッテリー駆動)、地域 – 2030年までの世界予測」 によると、小型ドローン市場は、2023年の58億米ドルから、2023年～2030年にCAGR 8.6%成長で2030年までに104億ドルに成長すると予測されている。
市場の成長は、海上国境警備用の小型パトロールドローン需要増に起因する可能性がある。

市場の世界的な拡大は、民生用と軍事用の両方で小型ドローンの採用が進んでいることによる。小型ドローンは、写真撮影、製品や医薬品の配送、3Dマッピング、データ伝送、限られたスペースでの検査や監視など、多くの商業分野で広く使用されている。また、農業、不動産、石油・ガスなどの産業でも重要な役割を果たしている。

農業では、小型ドローンの活用により、精密農業の出現につながっている。この技術により、農家は作物の健康状態を監視し、灌漑設備を監督し、様々な種類の雑草を特定したりすることができる。さらに、写真分野では小型ドローンの普及が進んでいる。そのユーザフレンドリーな性質と手頃な価格は、多くの場合550ドル未満の価格で、高度なデジタル技術を利用して見事な航空写真やビデオをキャプチャするためのアクセス可能なツールになる。

ドローン撮影は、土地利用計画、映画制作、環境研究、考古学、送電線検査、石油・ガス測量、監視、商業広告、芸術プロジェクトなど、様々な目的に使用されている。さらに、ドローンは、特に高高度や汚染された環境内で、到達が困難な場所の検査に不可欠である。

ドローンのアプリケーションは、テレコムタワーの検査に革命をもたらし、費用対効果が高く、時間効率の高いソリューションを提供している。ドローンは、建物やパイプライン、送電網、オフショア施設、ソーラパネルなどの重要インフラの空中評価にも有用である。

プラットフォーム別では、民生・商業セグメントが予測期間中に最高成長率の見込
プラットフォームの観点から見ると、小型ドローン市場は、民生・商業と防衛・政府の2つの主要なカテゴリーに分けられる。土木・商業部門には、さらに2つに細分化される:マイクロとスモールである。一方、防衛・政府セグメントは、ナノ、マイクロ、ミニの3つのサブグループに分類される。

民生・商業部門における複数の潜在的用途で使用する小型ドローンの需要増は、小型ドローン市場の成長につながっている。例えば、ideaForge(インド)のドローンは、インドの森林における野生動物の数や違法な密猟行為を監視するために使用されている。しかし、消費者向けドローンは、世界中のプロシューマやホビイスト、ブロガー、ビデオグラファの間で人気を博している。これは、これらの小型ドローンが費用対効果が高く、高解像度の広角写真を提供するからである。

一方、世界中の政府は、法執行機関やガバナンスのアプリケーションにドローンを徐々に活用している。主にコンパクトサイズと迅速なサービス能力のためである。防衛分野では、ドローンは重要な戦場情報を提供する上で重要な役割を果たしている。現代の軍事作戦では、世界中の軍隊が情報収集のための人間の偵察への依存を減らし、ドローンを採用している。ドローンの利点は、敵軍にほぼ感知されることなく運用可能なこと。ドローンは、敵の軍隊や特定の地域を監視し、GPS技術を使用して指定された地上局にビデオフィードを送信するのに役立つ。これらのドローンは、諜報、監視、偵察(ISR)作戦で使用され、他の方法では検出困難な可能性のある潜在的なターゲットに関する貴重な情報を収集する。

このような技術の一例は、米国のAeroVironmentと国防高等研究計画局(DARPA)の協力によって開発されたWASPドローンである。WASPは、監視・偵察活動を行うために戦場に配備され、軍の諜報能力を強化している。2022年7月にスペインの海岸沿いに配備されたドローンが、強力な海流と格闘していた14歳の少年を救助し、人命救助の役割を果たした事件が注目された。

アプリケーションでは、商業セグメントが基準年に大きなシェア獲得が予想されている
小型ドローン市場は、用途別に軍事、商業、政府・法執行機関、消費者セグメントに分類される。小型無人機の使用は、世界中の国防軍の間で長年にわたって行われてきた。しかし、最近では、公共部門と民間部門の両方の組織が、特定ニーズに合わせた新しい高度なUAVの開発に多額の投資を行っている。これにより、小型ドローン技術は大きく進歩し、商業分野での潜在的な用途が拡大している。例えば、日本では農場での農薬散布に小型ドローンが活用されており、Amazon(US)では近い将来、小型ドローンを商品配送に活用する意欲的な計画がある。多額の研究開発投資により、小型ドローンの範囲が広がり、鉱業、測量、3Dマッピングなどの様々な分野や、石油・ガス探査、映画産業などの産業に適用できるようになった。

APACは、予測期間中に小型ドローンの高成長市場になると予測されている
アジア太平洋地域(APAC)は、革新と技術のグローバルリーダーとして知られている。3年間の収益成長率をベースにすると、ドローンは、近年最急成長している技術企業である。韓国、マレーシア、中国 APACの国々における国土安全保障と防衛能力向上の軍事費急増は、この地域の小型ドローン産業の拡大に貢献している。ドローンは、APACの政情不安の結果として、国境を守るためにも使用されている。これは、この地域の小型ドローン市場拡大の背後にある重要な推進力である。

UAV部品の低コスト生産、玄関先配送需要の増加、UAV技術の進歩などは全て、APACの小型ドローン市場の著しい成長に貢献している。APACの小型ドローン市場は、中国、インド、日本、オーストラリア、韓国の取組もあって拡大している。