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信越化学、QST基板事業をさらに推進

September, 8, 2023, 東京--信越化学工業株式会社(信越化学)は、QST基板をGaNパワーデバイスの社会実装に不可欠な材料であると見定め、開発と製品上市を推進する、と発表した。

QST基板はGaNと熱膨張係数が同等であるため、エピタキシャル層の反りやクラックの抑制が可能であり、大口径で高品質な厚膜GaNエピタキシャル成長を可能とする基板材料。この特長を生かし、近年成長著しいパワーデバイス、RFデバイス(5GおよびBeyond 5G)や、Micro-LEDディスプレイ用のMicro-LED成長基板等への適用が期待されている。

信越化学は、QST基板の販売に加え、顧客の要望に応じてGaNを成長したエピタキシャル基板の販売も行う。口径は現状6インチ、8インチをラインアップしており、大口径化に有利な材料特性を生かし、12インチ化にも取り組んでいる。2021年以降、パワーデバイス、高周波デバイス、LED向けそれぞれに、国内外の多数の顧客にて、サンプル評価およびデバイス開発が続けられている。特にパワーデバイス向けでは、650~1800Vまで、広範な領域でのデバイスに向けて、継続評価が行われている。

これまで信越化学は、QST基板の改善を数多く重ねてきた。具体的な例としては、貼り合わせプロセスに由来する欠陥を大幅に改善し、高品質なQST基板の供給を可能とした。また多くの顧客から要望があったGaN成長の厚膜化に向けては、最適なバッファー層を成長させたテンプレート基板の提供を推進してきた。その結果、現在では安定して10μmを超えるエピ成長を実現している。さらにQST基板を用いての20μmを超える厚膜GaN成長の達成や、パワーデバイスにおける1800Vブレイクダウン耐圧の達成などさまざまな成果が生まれ、報告されている。

さらに、信越化学は沖電気工業株式会社(OKI)と共同で、Crystal Film Bonding(CFB)技術でQST基板からGaNを剥離し異種材料基板へ接合する技術開発に成功した。これまで、GaNパワーデバイスは横型デバイスが主流でしたが、CFB技術は、QST基板の特性を生かし、厚膜に形成された高品質GaNを絶縁性のQST基板から剥離することにより、大電流を制御できる縦型パワーデバイスが実現する。GaNデバイスを製造する顧客に、信越化学がQST基板またはエピタキシャル基板を提供し、OKIがパートナーリングやライセンスによってCFB技術を提供することで、縦型パワーデバイスの進展に貢献したいと両社は考えている。
(詳細は、https://www.shinetsu.co.jp)