March, 9, 2023, San Francisco--Grand View Researchのレポートによると、世界のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)市場規模は、2023-2030年にCAGR 7.5%で拡大し、2030年に873億1000万ドルに達する見込である。
HPCは、ハイパフォーマンス技術コンピューティング(HPTC)とハイパフォーマンスビジネスコンピューティング(HPBC)に分類されている。
HPTCは、科学と工学分野で多く使われている。特に政府機関、防衛機関、教育および研究機関、現行製造業が使っている。一方、HPBCは、ゲーミングや不正利用検知などのアプリケーションに適している。中でも、流通会社、金融サービスプロバイダは、HPBCを選ぶ。製造業、政府機関、防衛機関の中でHPCシステムの普及拡大が、HPC産業の主要な成長原動力となっている。
HPCシステムは、通常のコンピューティングシステムよりも高精度に、長いアルゴリズムを走らせ、複雑な問題や方程式を高速で解くことができるコンピュータクラスタを想定している。とは言え、IT産業の多様化、クラウドコンピューティングの普及、人工知能(AI)の継続的開発、ビジネス分析の必要性向上などが、様々なエンドユース産業によるHPCシステム採用を後押ししている。
データセンタは特に、大規模データを処理できるアーキテクチャを必要としている。HPCシステムは、そのようなデータセンタに十分なコンピューティングパワーを保証できる。様々な他の組織も、データの高速処理、より高精度な処理、複雑なビジネス手順を簡素化するためにHPCシステムを採用している。研究および学術機関も、研究の初期段階で必要な効率を最大化するためにHPCシステムの採用を始めた。
HPCシステムが提供する高い計算能力は、以前には不可能と思われたハイエンドリサーチプロジェクト実行に道を開く。したがってHPCシステムは、コンピュータ生物学、遺伝学、医療、構造分析、地球物理学統計、電磁気学、核物理学、天文学、数学モデリングなどで有用である。同様にして、HPCシステムから得られる高効率は、ディープニューラルネットワーク(DNN)、ヒトゲノムマッピングやモデリング、人工知能など様々な分野の研究活動実行で研究者の役に立つ。
HPCシステムベンダは、新たな要求に対処できる強化されたソリューションの提供をますま重視するようになってきている。これらのソリューションは、簡単に導入し、変化するワークロードに適応できる基本構成および管理ツールを含む。とは言え、HPCシステムのアプリケーションポートフォリオが継続的に成長しているが、HPCシステムについての認識欠如、SMEでの予算制約、データセキュリティの懸念などが、HPC産業の成長の障害となっている。
HPC市場レポートのハイライト
・2022年、オンプレミスセグメントが最大市場シェア。このセグメントは、予測期間に最高CAGR 8.5%を上回る成長が予想されている。これは、コスト効果、スケーラビリティ、導入のしやすさ、クラウド導入に関連するセキュリティの強さなど、複数の利点によるものである。
・2022年、政府&防衛セグメントが最大シェアであり、今後最高CAGR 9.0%を超える成長が予想されている。この成長は、監視、航空機シミュレーション、暗号化、機密情報の解読でHPCシステムの採用が進んでいるからである。
・予測期間に北米が大きく成長する見込である。新しいスーパーコンピュータ施設が、技術進歩と並んで同地域に登場してきている。これは地域市場の成長にとって幸先かよい。USAには、すでに上位5のスーパーコンピュータが存在する。同国は、2022年、75%を超える最大市場シェアであり、予測期間中に地域の成長をリードする見込である。