August, 29, 2016, Wellesley--BCCリサーチによると、過去70年、厚膜、薄膜、超薄膜の堆積がデバイスの微小化を促進してきた。これは、主にエレクトロニクス産業の急成長に貢献している。同社の調査は、ナノフィルムの製造を可能にする技術開発、ナノエレクトロニクスの時代が到来したことを明らかにしている。
薄膜は、5µm厚以下の膜であるが、様々な製造技術を適用することで幅広い薄膜、超薄膜の製造に使用されている。これらの技術は、その特性と運用原理に基づいて、主要3カテゴリ(物理的、化学的、積層的プロセス)と7つのサブカテゴリで構成される。蒸着、スパッタリング、イオン蒸着、化学蒸着、液相成膜(LPD)、メッキ法、プリンティング。
薄膜材料の市場規模は、CAGR 3%成長で、2016年と2021年でそれぞれ約98億ドル、113億ドルに達する見込みである。化学プロセス(化学蒸着、液相成膜、メッキタイプ堆積法を含む)は、2016年に推定61億ドルで、世界市場の62.2%を構成すると見られている。化学プロセス向け薄膜材料の販売は主に電気メッキにおける利用によるもので、機械/化学分野および電子デバイス向けの保護被覆作製用途である。
物理プロセス(蒸着、スパッタリングおよびイオン蒸着を含む)は2016年に36%を構成し、総売り上げは35億ドルに達する見込み。積層プロセス(すなわち、プリンティング)が、薄膜形成のローコスト代替法として登場してきた。積層プロセスは、2016年に薄膜材料販売で1億8000万ドル、市場全体の1.8%と予測されている。
半導体産業における進行中の微小化が他の分野に影響を与える。より小型で薄型、軽量のコンポーネントや製品を実現する薄膜市場の継続的開発努力に見られる。さらに、ナノテクノロジーにおける新たな開発が、30 nm以下の膜厚あるいは原子厚の材料と製法の進歩に影響を及ぼしている。
エレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、他の産業分野(ライフサイエンス、エネルギー、センサと計測器)における微小化トレンドが、同様に市場成長の原動力となっている。しかし、量産市場をターゲットにし、価格競争できるデバイスを製造する必要性がより低コストの製造プロセスの利用に圧力をかけている。結果的に薄膜業界は、新世代の微小デバイス製造にプリンティング法を追求するようになっている。
「近年、ナノテクノロジーにおける進歩を受けて、ナノマテリアル(ナノ粉末、ナノファイバ、ナノワイヤやナノチューブ)をベースにしたプリンティングインクが利用できるようになった」とBCCリサーチ(BCC Research)のアナリスト、Margareth Gagliardi氏はコメントしている。さらに同氏は「これらのインクは、数年前には、厚膜デバイス製造にしか使われなかった技術を採用する極薄膜製造に適している。その結果、薄膜プロセスと厚膜プロセスの区別があいまいになった。ナノマテリアルのプリンティングをベースにした薄膜プロセスがますます普及してきているが、まだ産業全体でのシェアは小さい」と付け加えている。