November, 20, 2015, Madison--昆虫の複眼からヒントを得て、ウイスコンシン大学マジソン校(UW-Madison)のエンジニアは、視野が広い柔軟な微小レンズを作製した。
この新しいアプローチにより、初めて柔軟で広い視野のフレネルゾーンプレートが実現した。これにより外科用スコープからセキュリティカメラまでのあらゆるものが、従来のレンズに必要なサイズのほんの一部で一段と広い視野を得ることができる。
UW-Madisonの電気・コンピュータ工学教授、Hongrui Jiangをリーダーとする研究チームは、ピンの頭ほどのレンズを設計し、それを柔軟なプラスチックに埋め込んだ。シリンダに入り込んだ微小レンズアレイは、視野170°のパノラマ像を捉えることができる。
Jiang氏によると、アイデアは昆虫の複眼から得た。「ドーム構造上の多面レンズで大きな視野が得られることは分かっている」。
従来のレンズは、屈折を利用して一点に焦点を結ぶ。19世紀のエンジニア、Augustin-Jean Fresnelが命名したゾーンプレートは、回折によって焦点を合わせる。
直径1/2㎜のレンズの各々が、跳ね返る石から出た、水面の一連のさざ波に似ている。的のように、個々の同心円が明暗の交代となっている。リング間の距離がレンズの光学特性を決める。研究チームは、単一レンズを伸ばしたり曲げたりすることでその特性を調整することができる。
以前のフレネルゾーンプレート製作では画像が不鮮明になった。Jiangの説明によると、暗いエリアは非常に暗くならなければならない。本質的に、光を完全に吸収しなければならない。光を全く反射しない、伝達しない物質を見つけるのは難しい」。
研究チームは、フレネルゾーンプレートレンズの暗い領域内に光を捉えるためにブラックシリコンを使うことでこの問題を克服した。ブラックシリコンは、一群の微小垂直柱、あるいはナノワイヤでできている。個々のナノワイヤの間で跳びはねる入射光は複合体構造から逃れることができず、材料は一段と暗くなる。
ブラックシリコン層を透明な背景に横たえるのではなく、研究チームはボトムアップアプローチを採用してレンズを造った。まず、固体シリコンウエファ上にアルミリングパタンを造り、アルミリングの間の領域のシリコンナノワイヤをエッチングした。次に、シリコンナノワイヤピラーの間にポリマをしみ込ませた。プラスチックサポートが固化した後、シリコン裏張りをエッチングで除去し、柔軟なプラスチックに埋め込まれた的の模様のブラックシリコンを残した。
このようなアプローチによって、作製したレンズは前例のない鮮明な焦点機能、大きな視野を持つ柔軟性を実現した。