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低速エミッタを高速光源に改良する方法を開発

October, 27, 2015, Providence--蛍光体は効率的な光エミッタであるが、スイッチングが遅いので高速通信には適していない。ブラウン大学とハーバード大学の研究チームは、相変化物質を使って蛍光体エミッタからの光を何桁も高速変調する方法を開発した。これにより、蛍光体は新しいオプトエレクトロニックアプリケーションで有用になる。
 ブラウン大学の研究チームは、ハーバード大学の研究者と共同で、蛍光エミッタからの光を高速に制御する新しい方法を開発した。この技術は、あらゆる種類のシリコンベースのナノスケールデバイス、コンピュータチップや他のオプトエレクトロニックコンポーネントで使える変調への新たなアプローチを提供する。
 蛍光体は、LEDsなどの電球で使われる一般的な光エミッタ。それに励起されるエネルギーの多くが、熱ではなく光に変換されるので非常に効率がよい。しかし光学的な寿命が短く、励起されてから基底状態に戻るまでの時間が比較的長い。その結果、蛍光体は高速にON/OFFできない。例えば、この特性の利点は暗闇で光る玩具にある。
 しかし、この特性は、光をON/OFFして情報をエンコードするプロセス、光変調にとっては適していない。低速寿命のために蛍光体は従来、高速変調を必要とするアプリケーションには役に立たなかった。
 ところが最新の研究では、ブラウン大学工学・物理学准教授、Rashid Ziaとハーバード大学のShriram Ramanathanの研究グループを含むチームは、変調について別のアプローチを採用した。
 「出てくる光の量の変化の代わりに、エミッタ周辺の環境を素早く変えることによって、光の別の性質、つまり光の色、スペクトルを変えるシステムを考案した」とZiaは説明している。
 この研究のリーダーは、Zia研究室ポスドク研究者、Sébastien Cueff。Cueffは、エルビウムイオンでできたエミッタで始めた。それを二酸化バナジウム(VO2)と混合させた。VO2は相変化物質で、エネルギーを注入すると、透明絶縁状態から反射性金属状態に素早く変化する。この反射率変化は、今度は、近くのエルビウムイオンが放出する光の量を変える。VO2の相変化にしたがい、エルビウム放出はほとんど磁気双極子遷移(磁気力のプッシュ・プル回転トルク)から、主に電気双極子遷移(電気力の線形プッシュ・プル)によって生成されるようになる。その2つの放出経路は明確なスペクトルを持ち、その2者間の変調往復運動は情報エンコードの手段として使用できる。
 研究チームは、光放出のこのような直接変調は、VO2相変化と同様に速くできることを示した。これはエルビウムのON/OFFよりも遙かに速い。この最初の実験で用いたテストシステムは、そのシステムがエルビウムの光寿命よりも3桁速くスイッチングできることを示した。
 これにより新たなアプリケーションでリン光体の利用が可能になる。例えば、コンピュータチップの光通信ネットワーク。
 プロトタイプ・オンチップネットワークは、光エミッタとして半導体レーザを用いた。半導体レーザは非常に高速であるが、欠点がある。半導体はシリコンチップ上に直接成長させることができない、したがって製造が難しい。変調の間接手段-干渉計は、チップ上では大きな場所を占めるシステムになる。さらに、半導体レーザは、取り立てて効率がよいわけではない。光とともにたくさんの熱を発生するが、これはシリコンチップでは問題になる。
 それに対して、エルビウムや他の蛍光体は、シリコンに直接堆積できるので製造が容易になる。また、蛍光体は高効率であるので、熱はあまり問題にならない。チップ上で使えるスピードにするまでに、まだ開発は必要であるが、研究チームはできると考えている。
 この最初の実験では、研究チームはレーザを使ってVO2を叩いて相変化を起こさせた。より高速のVO2相変化手段は、レーザの代わりに電気を使うことだが、それによってシステムはさらに高速になると考えられる。
 研究チームは、このシステムの改善を続ける計画であるが、この最初の実験を重要な概念実証としている。