September, 17, 2015, Houston--ライス大学の研究チームは、水分子を分離することで、太陽光からのエネルギーを取り出してそれをクリーンで再生可能なエネルギーに変換するの効率的な新しい方法を実証した。
その技術は、光活性化金ナノ粒子に依存している。これらナノ粒子は、太陽光を取り込み、太陽エネルギーを高励起状態の電子、「ホットエレクトロン」に変換する。
「ホットエレクトロには、非常に有益な化学反応を誘導する可能性があるが、急速に崩壊するので、そのエネルギーの活用は以前から研究されてきた。例えば、今日最高のPV太陽パネルのエネルギー損失のほとんどは、数ピコ秒で冷え、エネルギーを廃熱として放出するホットエレクトロンの結果である」とライス大学准教授、研究リーダー、Isabell Thomann氏は説明している。
この高エネルギー電子を冷却する前に捉えることによって太陽エネルギープロバイダは、太陽-電力の変換効率を大幅に高め、太陽電気のコストを下げるという国の目標を満たすことができる。
ライス大学ナノフォトニクス研究所(LANP)で研究チームが研究した光活性化ナノ粒子では、光は捉えられるとプラズモンに変換される。プラズモンは電子の波であり、ナノ粒子の金属表面を液体のように流れる。プラズモンは短命の高エネルギー状態であるが、ライスの研究チームは、プラズモニックエネルギーを捉えて、それを有用な熱や光に変換する方法を開発した。プラズモニックナノ粒子も、ホットエレクトロンのパワーを活用する最も有望な手段の一つを提供する。
研究チームは、ホットエレクトロンからのエネルギーを使って水の分子を酸素と水素に分離するシステムを作製した。それは重要である、酸素と水素は、電気をクリーンに効率的に作り出す電気化学装置、燃料電池の原料だからである。
ホットエレクトロンを利用するために研究チームは、まずホットエレクトロンを類似の「エレクトロンホール」から分離する方法を見つけ出した。エレクトロンホールは低エネルギー状態であり、エネルギーのプラズモン衝撃を受けると空になる。これを回避する唯一の方法は、ホットエレクトロンとエレクトロンホールとが急速に相互分離するシステムを設計することである。電気エンジニアにとって標準的な方法は、一方通行のバルブとして動作するように、ホットエレクトロンをエネルギー障壁を越えさせることである。Thomann氏によると、この方法は本質的に非効率であるが、それは十分に理解された技術、ショトキーバリアを使うのでエンジニアにとっては魅力的である。
研究チームは、この問題に対して新しいアプローチを検討した。「従来のアプローチではない。ホットエレクトロンを追い払うのではなく、エレクトロンホールを取り去るシステムを設計した。実際、セットアップは篩か膜のように機能する。ホールは透過するが、ホットエレクトロンは透過できない。したがってホットエレクトロンはプラズモンナノ粒子の表面に残る」と同氏は説明している。
セットアップは、材料を3層にしているところが特徴。最下層は光るアルミニウムの薄膜。これは薄い酸化ニッケルでコーティングしてあり、その上にプラズモン金ナノ粒子が散乱している。ナノ粒子は、直径10~30nmのパック形状のディスク。
太陽光がそのディスクに、直接あるいはアルミからの反射で当たると、ディスクは光エネルギーをホットエレクトロンに変換する。アルミは、結果としてのエレクトロンホールを引きつけ、酸化ニッケルはこれらを透過させる。一方、ホットエレクトロンに対しては不透過障壁として機能するので、ホットエレクトロンは金表面に留まっている。材料シートをフラットに置き、それを水で覆うことによって研究チームは、金ナノ粒子が、水を分離するための触媒として機能するようにした。現在の実験では、研究チームは、水の分解によって発生した水素と酸素を直接計測するのではなく、水の分解に使用可能な光電流を計測した。
「ホットエレクトロン水分解技術を利用することで、われわれが計測した光電流効率は、高価なコンポーネントを使用する非常に複雑な構造と同等であった。われわれのシステムを最適化することで、この結果を大幅に改善できると確信している」とThomann氏はコメントしている。