August, 21, 2015, Southampton--サザンプトン大学(University of Southampton)の研究チームは、分子の冷却に使用できる新しいレーザ冷却法を初めて実証した。これは物質波の干渉に基づいている。
極低温原子サンプル作製能力は実験原子物理学に革命を起こし、これによって原子時計からなるデバイスが使えるようになり、量子コンピュータの可能性を含む広範な量子デバイスが可能になる。
しかし、光学的冷却技術を用いて室温から極低温まで原子を冷却する現在の技術は好都合な電子構造をもつ原子に限られる。結果的に、数少ない2原子分子を含め、ほんのわずかな原子が、この方法で冷却される。
サザンプトンの研究チームは初めて新しいレーザ冷却技術の原理証明実証を行った。これは、2000年のMartin Weitzとノーベル賞受賞者Ted Hänschの提案をベースにしており、まだ従来のレーザ冷却法で征服していない原子や分子に、原理的に適用可能である。
物質波の量子干渉を利用する新しいアプローチを用いて研究チームは、すでに低温になっているルビジウムサンプルをレーザ冷却の基本温度限界近くまで冷却することができた。
この冷却技術は物質波干渉をベースにしている。ここでは、原子(物質波)がレーザパルスによつて状態の重ね合わせにされる。原子は同時に2つの経路を進み、これらは後に干渉する。さらに、原子への衝撃はこれらの経路の違いに依存する。同じ現象を使って超高感度の計測デバイスを作ることができる。
基本的に、衝撃は2つの経路でのエネルギー差がレーザフォトンのエネルギーとどのように拮抗するかに依存する。そこでは原子のエネルギーは位置(内的電子配置)と運動(外的動き)部分で形成されている。
WeitzとHänschスキームの背後にある巧みな計略は、位置エネルギー、つまり内部電子構造への依存を排除し、粒子の運動エネルギーだけに基づく干渉を残すような仕方で、レーザを原子と相互作用させることにある。
サザンプトンの研究チームは、物質波干渉を用いる原理で原子を冷却できることを実証した。この成果は、冷却メカニズムを内部電子構造から分離する、方向への大きな前進である。つまり、一般的な分子のレーザ冷却の究極目標への前進である。
(詳細は、www.southampton.ac.uk)