June, 24, 2015-- 米コヒレント社は、MALDI-TOF(マトリックス支援レーザ脱離イオン化法 – 飛行時間質量分析)やレーザマイクロダイセクション、レーザ誘起蛍光(LIF)などの応用において、高速かつ高品質な処理を可能にする超小型パルスレーザFlare NXをリリースした。
同シリーズは、1030 nm、 515 nm、 343 nmの3波長モデルをラインアップしており、高パルスエネルギー(>500 µJ @ 1030 nm、 >300 µJ @ 515 nm、 >100 µJ @ 343 nm)でありながら、優れたビーム質(M2<1.2)、短パルス幅(~1 ns)を実現している。
その短パルスにより、MALDI-TOFの質量分解能など、様々な応用で時間分解能を向上する。また高いパルスエネルギーは、SN比の改善をもたらし、数パルスでの測定を可能にする。加えて、高いビーム質は、顕微鏡応用で、高い空間分解能を実現する。
MALDI-TOFは、タンパク質やウイルスのような大分子の研究など、ライフサイエンス分野で広く利用されている質量分析の1種である。これまでMALDI-TOFは、低繰返し周波数(最大100 Hz)の窒素レーザを用いて構成されていた。
最新のMALDI-TOF装置では、この最大2 kHzの高い繰返周波数のレーザを採用することにより、窒素レーザを搭載した従来型装置に比べ、高速でデータ処理が可能になる。またFlare NXは、空間分解能や優れた質量分解能を実現しながら、高速化のニーズを満たし、さらに簡易設置が可能なため、MALDI-TOFの測定コストをも低減する。(2ギガパルス以上の寿命を実現するため、窒素レーザよりもパルスあたりのコストを大幅に低減できる)
このレーザの他の応用として、レーザマイクロダイセクション(顕微鏡下で組織切片を観察しながら、特定の細胞をレーザによって切り出す応用)がある。この応用においても、Flare NXの高繰返し周波数、高パルスエネルギー、優れたビーム質などの特長が、高スピードと切断面の改善に貢献する。
【主な仕様】
波長:1030±1 nm / 515±0.5 nm / 343±0.5 nm
パルスエネルギー:>500 µJ @ 1030 nm / >300 µJ @ 515 nm / >100 µJ @ 343 nm
パルス幅:1.45±0.2 ns @ 1030 nm / 1.15±0.2 ns @ 515 nm / 1.0±0.2 ns @ 343 nm
最大パルス繰返周波数:2 kHz
空間モード:TEM00 (M2<1.2)
【アプリケーション】
MALDI-TOF
レーザマイクロダイセクション
レーザ誘起蛍光(LIF)
コヒレント・ジャパン株式会社 産業用レーザセールスグループ
☎03-5635-8700