June, 16, 2015, Washington--韓国科学技術院(KAIST)によると、顕微鏡にわずかな変更を加えるだけで、バクテリア(細菌)を迅速に特定する新しい方法は、致死性の感染が発症する可能性がある患者に対する医師の処置方法を変え、有害な病原体を持つ汚染に対する食品産業の検査に役立つ可能性がある。
この新しいアプローチでは、レーザ光が顕微鏡下の個々の細菌で反射して、細菌のホログラフィック像を作り、次に数学的変換とコンピュータソフトウエアを用いて画像を分析し、それを既知の細菌と比較することで特定する。ソフトウエアは、機械学習アルゴリズムを利用する。これは、セキュリティカメラに接続したコンピュータが自動顔認証に使用するのと同様の方法。
このアプローチが対照臨床試験で有効であることが証明されると、常時利用できる新しい強力な方法となり、危険な細菌をベッドサイドで直ちに特定することができるようになる。このアプローチは、通常数日かかる、患者の血液から採取した細菌を研究室で培養する方法よりも遙かに高速である。この方法は今でも、医療業界では診断確定のための基準になっている。また、現在日常的に用いられている新しい方法は、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)というDNA解析技術をベースにした迅速判定方であるが、それでも結果が帰ってくるまでに数時間はかる。しかも高価なサンプル準備が必要となり、世界中の資源不足の国々で日常的に利用するには法外な費用がかかる。
KAISTの研究チームによると、発展途上国で臨床ニーズを満足することがこの研究の背景にあると言う。
「われわれは、既存の顕微鏡をホログラフィック顕微鏡に変換するためのコンパクトなポータブルデバイス、定量位相イメージングユニット(QPIU)も開発した。ホログラフィック顕微鏡は、個々の細菌の散乱パタンの光を計測し、開発途上国などで細菌の種類特定に用いることができる。予定では、タンザニアに出かけてフィールドテストを行うことになっている」とKAISTチームのリーダー、YongKeun Park氏は語っている。
この技術は、ホログラフィック顕微鏡下の細菌からの光の散乱が必要になる、さらにフーリエ変換をホログラフィック像に適用する。フーリエ変換により、いかなる細菌の細胞でも明確なフィンガープリントのような光の散乱パタンで細菌を特定することができる。次に自作のソフトウエアで分析する。このソフトウエアは、機械学習として知られる統計的分類アプローチを用いた。これは、顔認証ソフトウエアのようなアプリケーションで広範に使用されているパタン類似性をベースにした分類法。機械学習をフーリエ変換光散乱データに適用したのはこれが初めてのケース。
研究チームは、この成果を拡張して、細菌サブグループのいくつかのタイプ間の区別ができるどうかを検討している。これは、毒性のない菌から最も薬剤耐性が強い、毒性が強い菌株を特定するためである。
この新しい方法は、臨床だけでなく、食品産業、あるいは国家安全アプリケーションでも役立つ可能性がある。原理的にこのアプローチは、汚染食品、疑わしいパッケージの選別に拡張できる。