June, 10, 2015, Bonn-- ボン大学の研究チームは、マウスの喉頭筋肉を光を使って刺激する方法を見いだした。最終的にはこの方法は、発声や呼吸困難に陥る喉頭麻痺の治療オプションとなる。
筋肉は、収縮による神経刺激に反応する。通常、光はこのような収縮を始めるために使用できない。ところが数年前、チャネルロドプシンという珍しい分子グループが緑藻に見つかった。チャネルロドプシンは、光を照射すると開くイオンチャネル。チャネルロドプシンを適切にパッケージして、筋肉に注入すると、個々の筋肉細胞に統合される。これらの細胞が光に晒されると直ぐに、チャネルが開き正電荷に帯電したイオンが筋肉細胞に流れ込み、収縮が起こる。
機能原則は数年前に発見された。2010年、ボンのワーキンググループが同じ方法を使ってマウスの心臓を刺激した。しかし喉頭筋肉は骨格筋系の一部であり、「骨格筋は別の法則に従う」と研究長、Dr. Philipp Sasseは言う。例えば、骨格筋の個々の繊維は別々に収縮可能なので、動きや筋力を非常に精密に個別コントロールできる。また、心臓の筋肉と違い、骨格筋は、繰り返し高い周波数で刺激されると、静的収縮する。「光パルスも静的収縮を作り出せることを初めて示すことができた。光ビームを向ける場所によって個々の筋肉グループを刺激することもできる、神経によって身体が行うのと全く同じ方法だ」と論文の筆頭著者、Dr. Tobias Bruegmannは説明している。
結果として、この方法は新たな治療アプローチの方向を示す可能性がある。例えば、数年で、喉頭麻痺の患者が恩恵を受けるようになるかも知れない。喉頭麻痺は、甲状腺手術後、喉頭神経に影響を与える他の病理学的過程中に起こりえる。喉頭は、話すこと、飲み込むことで重要な役割を果たすが、最も重要なことは呼吸。呼吸するとき、喉頭筋肉が声帯を離して肺に空気が流れ込むようにする。完全に麻痺すると、患者はもはや呼吸できなくなる。
残念ながら、電気刺激は喉頭機能の回復にはほとんど効果がない。「直ぐ近くに反対の機能を持つ別の筋肉が存在するからだ」とD.. Tobias van Bremenは説明している。「電極を使ってこれらの筋肉を個別に刺激することはほぼ不可能だ」。光を使う方法は有望なアプローチになる。ボンの研究グループは、それが動物で有効であることを、すでに示した。マウスの喉頭の気道を光で開くことができた。しかし、克服すべき問題がいくつかある。例えば、チャネルロドプシンを喉頭筋系に注入する方法であるが、研究グループは現在、遺伝子導入技術や光スティミュレータなどをテストしている。