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導波路型光デバイスによる世界最高品質のスクイーズド光生成に成功

March, 17, 2026, 東京--NTT株式会社(NTT)、東京大学、理化学研究所とOptQC株式会社(OptQC)は、導波路型光デバイスによる世界最高品質のスクイーズド光生成に成功した。
スクイーズド光は様々な光量子技術の根幹となる光であり、広帯域かつ高いレベルで量子ノイズが圧縮された高品質な光は光量子コンピュータ実現における最重要リソース状態となる。光量子コンピュータは世界各国で実現化競争が激化している量子コンピュータの中でも大規模性・高速性に優れ、光通信技術との親和性の高さから多くの期待が集まっている。
この成果は、将来的にIOWN技術を融合した高速な光量子コンピュータの実現を可能にし、ニューラルネットワークへの応用や、誤り耐性型量子コンピュータの実現を大きく前進させるものである。

技術のポイント
①周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)導波路

NTTでは広帯域なスクイーズド光源として周期的にその分極が反転されたニオブ酸リチウム導波路の高性能化に取り組んできた。2021年には新規作製手法による導波路自身の低損失化に成功したが、導波路から出射されるスクイーズド光の形をコントロールできていなかった。スクイーズド光の測定や量子もつれの生成には、空間的な形がほぼ等しい他の光と干渉させる必要がある。この研究では導波路から出射されるスクイーズド光の空間的な形が扱いやすい真円に近くなるよう、導波路設計および作製プロセスの最適化を実施した。

②量子光位相制御技術

高いレベルのスクイーズド光を測定するには、測定時に用いる基準光との相対光位相を厳密に制御する必要がある。スクイーズド光と基準光の位相を同期させるためには、一般にスクイーズド光のもととなる励起光と基準光の光位相を同期させる。従来の光位相同期手法では、非線形媒質内でスクイーズド光生成と光位相同期基準信号の生成を同時に行い、非線形光学媒体から出射される光の一部を分岐して位相同期のための信号を抽出していた。しかしながらこの従来手法では、光分岐の際にスクイーズド光も分岐してしまう。このとき、位相同期の精度を高めるために分岐比を大きくし、抽出する光強度を大きくしようとすると、スクイーズド光の光損失が大きくなってしまい、結果的にスクイーズド光が劣化してしまうことが問題だった。
研究ではこの問題を解決する新しい位相同期手法を考案した。具体的には、励起光と基準光を非線形媒質の前で分岐し、位相同期信号を生成するために他の非線形媒体を用いた。この技術により、従来に比べて低損失かつ同期精度の高い測定系を構築することに成功した。

研究成果は、2026年2月25日(米国時間)に米国科学論文誌Optics Expressのオンライン版に掲載された。

(詳細は、https://www.t.u-tokyo.ac.jp)