Science/Research 詳細

素早く手軽に操作できる多段階調光ブラインドを開発

February, 20, 2026, つくば--産業技術総合研究所(産総研)製造基盤技術研究部門 穂苅 遼平 主任研究員、桑野 玄気 主任研究員、辻岡 一眞 研究員、栗原 一真 研究主幹は、独自のナノ構造を利用した偏光シートを応用して、加工や設置が簡単で手軽に導入できる多段階調光ブラインドを開発した。

ブラインドやカーテンは、窓から差し込む自然光を生活リズムやライフスタイルに合わせて操る仕組み。近年では液晶を使った調光ガラスがその役割の一部を担っているが、その制御に電源を必要とするため導入先は限られている。

今回開発した調光ブラインドは、重ね合わせた2枚のシートを数ミリメートル程度スライドさせるだけで、従来はON/OFFしかできなかった光の透過率を多段階で調整できる。そのため、日差しがまぶし過ぎると感じたときに片手で手軽に快適な明るさに操作できる。シートは、専用に設計された偏光パターンをナノインプリント技術で一括に製造できる。
光の透過率の制御に電源を必要とせず、近赤外・赤外光の調光も可能なため、住宅向けのニーズがある遮熱効果の調節への応用が期待できるほか、将来的にはセンサ周辺部材への活用などより幅広い分野への展開が期待される。

研究の内容
今回開発した段階調光型ブラインドのために作製したパターン偏光シートは、偏光軸が0°、30°、60°、90°、120°、150°の領域が並んだレイアウトをしており、重ね合わせた2枚の相対位置を変化させることでマリュスの法則に基づいてスライド操作だけで面内一様に透過率を段階的に制御できる。

このような偏光を利用した調光技術の概念はよく知られているものだが、実際に製造することは簡単ではなく、窓サイズに対応可能な製造技術で実現することが課題だった。
それに対して、今回、産総研がこれまでに開発してきた三角波状ナノ構造型偏光子の技術を応用し、ナノインプリントと真空成膜工程のみで製造できるパターン偏光シートを実現した。従来必要だった偏光板のカット・貼り付け工程が要らず、パターン境界はナノメートルスケールでつながっており、さらにはパターンレイアウトを工夫することで良好な外観を実現している。
今回は、2枚のパターン偏光子をスライドしたときに得られる偏光軸の角度差が0°(明るい状態)、 30°(やや明るい状態)、60°(やや暗い状態)、 90°(暗い状態)になるようにパターン偏光子をデザインし作製しているが、この段階数はニーズに合わせて変更できる。また、このパターン偏光シートは、将来的にはRoll to Roll 技術を適用し得るので、大面積で高効率な製造が可能になると見込まれる。

(詳細は、https://www.aist.go.jp)