January, 16, 2026, Glasgow--グラスゴー大学ジェームズ・ワット・スクール・オブ・エンジニアリング(James Watt School of Engineering, University of Glasgow )の研究チームは、超薄型ナノワイヤを曲げられる透明なポリマ基板にインプリントする新しい方法を開発した。
この技術は大学のマイクロエレクトロニクスLab(meLAB)で開発され、研究者のJungang Zhangが主導した。これは、レーザ工学と電場を用いてナノスケール材料を精密に配置する技術を組み合わせることで機能し、クリーンルーム設備を必要とせず製造できるように簡単に製造をスケールアップできる。
このプロセスによって生成される柔軟な材料は、日常生活でますます普及する無線信号による電磁干渉に対して驚くほど耐性がある。現代技術は5GやWi-Fi信号に依存しているが、医療機器などの重要機器の敏感な電子機器に問題を引き起こすことがある。
将来的には、チームの開発が、優れた性能と不要な信号からの完全な遮蔽を兼ね備えた次世代デバイスのウェアラブルまたはインプラント型ヘルスケアモニタリングへの道を開く助けとなる見込みである。
チームのブレークスルーの背景にあるプロセスは、ACS Nano誌に掲載された論文で紹介されている。まず、非均一な電場を用いて、薄く柔軟で透明なポリイミドフィルムの上に、人間の髪の毛の1000分の1の細さの銀ナノワイヤを直接整列させる。
このプロセスは界面誘導泳動(i-DEP)と呼ばれ、あらゆる方向への捻れやターンを含む非常に精密なパターンを作り出すことを可能にする。論文に掲載された図は、i-DEP技術を用いてポリマ基板上で「NANO」と「UOG」の文字を正確に形成した方法を示している。
構造的ナノギャップを用いたi-DEP整合型ナノワイヤネットワークは、材料の干渉耐性の鍵となる。ギャップはコンデンサとして機能し、外部信号が内部電子回路に影響を与える能力を低減し、チームが「容量結合型インタワイヤネットワーク」と呼ぶものを作り出す。
チームの製造プロセスの第2段階では、ナノワイヤにピコ秒レーザ光の超高速パルスを照射し、ナノワイヤ間の接合部を結合されて電気的相互接続を可能にする。また、このプロセスではナノワイヤの絶縁コーティングが剥離され、光透過性が10%向上し、電気抵抗が46分の1に低減される。
研究チームによる実験では、この材料が優れた干渉遮断性能と透明性の両方を備えていることが実証された。チームが作製した試作フィルムは、2.2GHz~6GHz周波数帯域で35dB以上の遮蔽効果を達成し、入射電磁波の99.97%以上の遮断を実現した。また、光透過率は83%を維持していた。
meLABのリーダー、Hadi Heidari教授は、同論文の通信著者で次のように話している。「この研究により、大学のマイクロエレクトロニクスおよびソフト材料工学の専門知識を活用することで、ナノテクノロジー分野における長年の課題を克服する新たな設計ルートを開くことができた。」
「この技術で作られた材料の電磁干渉遮蔽性能は、非整列のナノワイヤの性能を初めて千倍以上向上させた。この性能向上により、将来的に多様なフレキシブルデバイスや埋め込み型デバイスの創出を可能にする見込みがある。」
チームの技術はまた、主要な製造課題にも対処している。従来のクリーンルームでの製造は小さなウエハサイズに限定されることがよくあり、高価で時間のかかる工程が必要になるが、この比較的手軽なアプローチにより、より大きな材料を製造できる。論文では、研究チームは40㎝×80㎝のデバイスを実証しており、将来の開発で簡単にスケールアップできるとしている。
ジェームズ・ワット・スクール・オブ・エンジニアリングの研究員、Jungang Zhangは、同論文の筆頭著者である。同氏は,次のようにコメントしている。「金属ナノワイヤネットワークにおける長年の課題だった電気伝導性と光透過性のトレードオフを克服したのはこれが初めてである。レーザ処理後、導電性と光透過性の両方が同時に向上する。」
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「フレキシブルディスプレイ、ウェアラブルデバイス、インプラント型医療技術において、この遮蔽機能と高い透明性は極めて重要である。不要な電磁ノイズを遮断しながら、リアルタイムのヘルスケアモニタリングのための高純度信号伝送が可能になる。総厚はわずか5.1µmと非常に薄いながらも高い効果を発揮する。今後の研究でその可能性を探求し、さらに発展させていきたいと考えている。」
チームの論文‘Laser-Engineered Interfacial-Dielectrophoresis Aligned Nanowire Networks for Transparent Electromagnetic Interference Shielding Films’は、ACS Nano誌に掲載された。