January, 14, 2026, 京都--京都大学、高橋義朗 理学研究科教授、田家慎太郎 同助教、高須洋介 同准教授、津野琢士 同修士課程学生(研究当時)らの研究グループは、小澤知己 東北大学教授と共同で、極低温のルビジウム原子を用いた実験により、「トポロジカル原子レーザ」の発振に世界で初めて成功した。
研究では、光(レーザ)の分野で発展してきた「非エルミート量子力学(利得と損失を伴う物理学)」を原子の世界に拡張するため、原子の内部状態を人工的な空間次元(人工次元)と見なす手法を用いた。さらに、通常は原子を冷却するために用いる「蒸発冷却」のプロセスを通して、特定の高エネルギー状態(トポロジカル端状態)にある原子を集中的に増やす「実効的な利得(増幅)」のメカニズムを新たに開発した。
この成果は、中性原子を用いた量子シミュレーションの可能性を広げるとともに、将来的に外部のノイズに強い高感度な量子センサや、新しい原理に基づく原子デバイスの開発につながると期待される。
研究成果は、2025年12月13日に、「Nature Communications」にオンライン掲載された。
研究者のコメント
「今回実現した『トポロジカル原子レーザ』は、端状態特有の『乱れに強い』という性質を持つことが期待される。この特性は、現在の量子コンピュータ開発における最大の課題である『ノイズによるエラー』を克服できるかもしれない『トポロジカル量子コンピュータ』の基礎原理にも通じるものである。現在活発に行われている中性原子を用いた量子コンピュータとは異なった発想に基づくものであり、中性原子を用いた量子情報処理の裾野の広さを示す研究であると思う。」(高須洋介)
(詳細は、https://www.kyoto-u.ac.jp)