Science/Research 詳細

レアアースも液体ヘリウムも不要、ありふれた元素からなる極低温冷却材料を開発

January, 5, 2026, つくば--NIMS(国立研究開発法人物質・材料研究機構)は大島商船高等専門学校と共同で、レアアース金属や液体ヘリウムを一切使用せずに極低温(約4K=マイナス269℃以下)を実現できる、銅・鉄・アルミニウムといったありふれた元素のみからなる新しい蓄冷材料を開発した。
三角格子が生み出す、スピン同士が互いの向きを同時に満たせない『フラストレーション』という一部の磁性体がもつ特殊な性質を利用することで、従来レアアースに依存していた極低温冷却に代わる新たな手法を示した成果。液体ヘリウム不足への対応に加え、今後需要が拡大する医療用MRIや量子コンピュータの安定冷却への応用が期待される。
研究成果は、12月22日に英国科学誌 Scientific Reports に掲載された。

成果のポイント
今回、NIMSと大島商船高等専門学校の研究チームは、レアアース金属元素を一切含まず、銅・鉄・アルミニウムといった豊富な元素だけで構成される物質を用いた、液体ヘリウムを使わずに極低温まで冷やす機械式冷凍機(GM冷凍機)用の蓄冷材を開発した。三角格子と呼ばれる特殊な結晶構造をもつ磁性体に特有のスピンの向きが極低温まで揃いにくくなる「フラストレーション」という効果を利用することで、遷移金属でありながら極低温で大きな比熱を示すことを実現したものである。従来のレアアース(ホルミウム化合物)を含む冷却材と同程度の性能を達成している。レアアース元素を用いない冷凍機用の磁性蓄冷材が実用レベルの性能を示したのは、今回が初めてである。

今回開発した蓄冷材料は、豊富な資源を用いているため持続可能性が高く、環境負荷が少ないという特徴がある。そのため、今後需要の拡大が予想される医療用MRIや量子コンピュータの極低温冷却への応用が期待される。
(詳細は、https://www.nims.go.jp)