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NTT、通信状況に応じた光伝送レイヤの自動制御により、短時間で光波長パスを経路切替・追加する技術実証

December, 26, 2025, 東京--大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)、NTT株式会社(NTT)、NTT東日本株式会社(NTT東日本)は、激甚災害時のネットワーク維持を想定し、通信状況に応じて光伝送レイヤの設計・制御を自動化することによって、波長変換を含む光波長パスにおける経路切替やオンデマンド追加設定を短時間で実現する技術の実証に世界で初めて成功した。
この成果により、迅速な光波長パスの経路切替・追加提供が可能となり、先端技術研究を支える高信頼な通信基盤の実現と、その利便性の向上が期待される。

研究の成果
東京都内の3つのデータセンタ(A、B、C)を光ファイバで接続した光伝送ネットワーク環境において、以下の2つのユースケース検証を実施した。

実験1:光波長パスの経路切替
実験では、激甚災害により、先端研究用トラヒックが流れる伝送経路が寸断された場合を想定し、リストレーションによる経路切替を自動で実行してトラヒックの転送を復旧させるような、以下シナリオを検証した。

①光伝送ネットワークの経路障害(A-C間)を模擬
②迂回経路のルートを自動設計し、伝送特性・光信号レートを事前診断
③診断結果に基づき、光信号レートを200Gbps(A→C)から100Gbps(A→B→C)に変更した光波長パスを迂回経路として自動設定し、伝送経路を切替
④変更後の光信号レートに合わせ、IPコントローラがスイッチ装置へのトラヒック制御を実施し、一部のトラヒックを回復
⑤光信号レートを下げた分を補うために、経路上で波長変換を行った100Gbpsの光波長パス(A→B→C)を追加で自動設定
⑥IPコントローラがスイッチ装置へのトラヒック制御を解除
上記実験の結果、経路切替の操作開始から10分以内に全トラヒックの転送が回復したことを確認した。
実験2:オンデマンド増速
実験では、先端研究の実施状況に応じて通信基盤の利用帯域を拡張する場合を想定し、実験1で検証した経路切替の自動化機能を応用することで、オンデマンドで回線を増速する設定を自動で行うような、以下シナリオを検証した。

①IPコントローラが100Gbpsから200Gbpsへの増速要求を送出
②APNコントローラが100Gbpsの光波長パスを追加で自動設定
③IPコントローラがスイッチ装置にトラヒック分散制御を実施
上記実験の結果、増速した光波長パスにより全トラヒックが転送できたことを確認した。

(詳細は、https://group.ntt)