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MIT、シリコンとペロブスカイトで太陽電池の効率向上

April, 7, 2015, Cambridge--MITとスタンフォード大学の研究チームは、新しい種類の太陽電池を開発した。これは、より広範な太陽エネルギーを集めるために、2つの異なる太陽光吸収材料を組み合わせている。この開発により、現在太陽光発電で使用されているものより効率のよい太陽電池が実現する、と研究チームは説明している。
 新しい電池は、今日のほとんどの太陽パネルの基礎になっているシリコン層を利用するが、それにペロブスカイトという材料の半透明層を追加している。ペロブスカイトは、光の高い方のエネルギー粒子を吸収できる。今年初めて同じチームのメンバーが報告した、2つの層を物理的にスタックした初期の「タンデム」太陽電池と違い、新しいバージョンでは両方の層が相互に接合されて単一のデバイスとなっており、必要な制御回路は1つですむ。
 MIT院生、Jonathan Mailoa氏の説明によると、初期のタンデム太陽電池ではPV材料の2つの層を相互に独立して操作できるので、それぞれ固有の配線と制御回路が必要となるが、個々の電池を独立に調整して適切なパフォーマンスにすることができた。
 それに対して、新しい統合バージョンは作製もインストールも遙かに簡単になる。「簡便性に関してはメリットがある。単一のシリコン電池のように見え、1つの電気制御回路だけで、操作するからである」とMailoa氏は話している。
 1つトレードオフがあり、生成された電流が2つの層の低い方の容量によって制限される。
 この制限に対処するために研究チームは、2つの層の電流出力を可能な限り正確に一致させようとしている。この概念実証太陽電池では、出力は従来の太陽電池とほぼ同じになる。研究チームは現在、その出力を最適化しようと作業をすすめている。
 ペロブスカイトは、太陽電池を含めて潜在的な電子的利用を目指して研究が行われてきたが、このような構成でシリコンと組み合わせることに成功したのは今回が初めてである。現在、研究チームは効率向上に注力している。最初のバージョンでは、効率は13.7%であるが、これを約30%に改善するローコストな方法を確認したと研究チームは主張している。また、この技術は最終的には35%を超える効率達成が可能である、と研究チームは説明している。