Science/Research 詳細

宇宙光通信に適した周波数変調型フォトニック結晶レーザ開発

December, 10, 2025, 京都--京都大学工学研究科 附属光・電子理工学教育研究センターの井上卓也准教授、高等研究院の野田進 特別教授、工学研究科の森田遼平 非常勤講師、および附属光・電子理工学教育研究センターのデ ゾイサ メーナカ 教授、石﨑賢司 特定准教授らのグループと株式会社KDDI総合研究所は、公立千歳科学技術大学と共同で、宇宙光通信をはじめとする長距離自由空間通信への応用に向けて、発振周波数を高効率かつ高速に変調することが可能な新たなフォトニック結晶レーザの開発に成功した。
この成果は、多数の複雑な光学素子からなる従来の宇宙用光送信機を、小型な半導体レーザ単体で置き換えられる可能性を示すものであり、超小型・軽量・高効率な衛星搭載型光送信機の実現に向けて極めて重要。

今回、研究グループは、さらに長距離かつ高速な宇宙光通信の実現を目指して、レーザの発振周波数を高効率かつ高速に変調することができる新たなフォトニック結晶レーザ構造の提案と実証を行った。その結果、従来のフォトニック結晶レーザと比較して、その周波数変化量を 2 倍に向上しつつ、通信時の雑音の増加の原因となる光の強度変化量を 1/4 に抑制することに成功した。また、開発した光源を用いて、宇宙光通信時の光損失を模擬する自由空間光通信実験を行った結果、従来光源と比較して、さらに 2 倍程度遠い距離まで、増幅器を用いることなく光通信が成立可能であることを明らかにした。加えて、光源構造のさらなる改良により、伝搬距離や伝送速度をさらに増大できる可能性も理論的に見出した。

研究成果は、2025 年 10 月 14 日に英国科学誌 Nature Photonics のオンライン版にて掲載され、同誌 12 月号に出版予定。

(詳細は、https://www.t.kyoto-u.ac.jp)