December, 5, 2025, Cambridge--コンピュータ支援設計(CAD)は、今日の物理的な製品の設計において定番の方法である。エンジニアはCADを使って2Dスケッチを3Dモデルに変換し、それをテスト・改良して最終版を生産ラインに送る。しかし、このソフトウェアは習得が非常に複雑で、何千ものコマンドから選ぶ。ソフトウェアを真に熟達させるには膨大な時間と練習が必要になる。
MITのエンジニアは、人間のようにCADソフトウェアを使うAIモデルでCADの習得曲線を緩和しようとしている。オブジェクトの2Dスケッチが与えられると、モデルはボタンやファイルオプションをクリックすることで素早く3Dバージョンを作成する。エンジニアがソフトウエアを使う仕方に似ている。
MITチームはVideoCADという新しいデータセットを作成した。ここにはCADソフトウェアで3Dモデルがどのように構築されるかの41,000以上の例が含まれている。これらの動画から学び、異なる形状や物体がどのように段階的に構築されるかを示すことで、新しいAIシステムは人間のようにCADソフトウェアを操作できるようになった。
VideoCADでは、AI対応の「CADコパイロット」を目指している。チームは、このツールが設計の3Dバージョンを作成するだけでなく、人間のユーザと連携して次のステップを提案したり、手動でクリックするのに面倒で時間がかかるビルドシーケンスを自動的に実行できることを想定している。
「AIはエンジニアの生産性を高めるだけでなく、より多くの人にCADをより身近にする機会がある」と、MIT機械工学科の大学院生Ghadi Nehmeは話している。
「これは設計への参入障壁を下げ、長年のCAD訓練を持たない人でも3Dモデルをより簡単に作成し、創造性を引き出す手助けをする点で重要である」とMITの機械工学准教授Faez Ahmedは付け加えている。
クリックごとに
チームの新作は、AI駆動のユーザインタフェース(UI)エージェントの最近の発展をさらに発展させている。UIエージェントは、オンラインで情報を自動収集し、Excelスプレッドシートに整理するなどのタスクを実行するためにソフトウェアプログラムを使用するよう訓練されたツールである。Ahmedのグループは、こうしたUIエージェントがCADを利用できるよう設計できるかどうかを考えていた。CADは多くの機能を持ち、平均的なUIエージェントが処理できるよりもはるかに複雑なタスクを含む。
新しい取り組みでは、CADプログラムの手綱を操作してクリックごとに2Dスケッチの3Dバージョンを作成するAI駆動のUIエージェントを設計することを目指した。そのため、チームはまず人間がCADで設計した既存のオブジェクトデータセットを調べた。データセット内の各オブジェクトには、「スケッチライン」「サークル」「エクストルード」などの高レベルデザインコマンドのシーケンスが含まれており、これらは最終オブジェクトの作成に使われた。
しかし、チームはこれらの高レベルのコマンドだけではAIエージェントにCADソフトウェアを実際に使わせる訓練には不十分であることを理解した。実際のエージェントは、各アクションの背後にある詳細も理解しなければならない。例えば、どのスケッチ領域を選ぶべきか、いつズームインすべきか、スケッチのどの部分を押し出すべきか。このギャップを埋めるために、研究者たちは高レベルのコマンドをユーザインタフェースのやり取りに変換するシステムを開発した。
「例えば、点1から点2まで線を引いてスケッチを描いたとする。われわれはその高レベルのアクションをユーザインタフェースの操作に翻訳した。つまり、このピクセルの位置からクリックし、次に別のピクセルの位置に移動し、クリックしながら『ライン』操作を選択している」(Ahmed)。
最終的にチームは、人間が最初に行ったクリックやマウスドラッグ、その他のキーボード操作をリアルタイムで記述した、人間が設計したCADオブジェクトの動画41,000本以上を生成した。さらに、これらのデータを自分たちが開発したモデルに入力し、UIアクションとCADオブジェクト生成のつながりを学習した。
このデータセット(VideoCADと名付けたもの)で学習すると、新しいAIモデルは2Dスケッチを入力として受け取り、クリック、ドラッグ、選択ツールを操作して完全な3D形状を構築できるようになった。オブジェクトの複雑さは単純なブラケットからより複雑な家のデザインまで多様だった。チームはより複雑な形状でモデルを訓練しており、将来的にはモデルとデータセットの両方が幅広い分野のデザイナー向けのCAD co-pilotsとして機能することを想定している。
「VideoCADは、新規ユーザのオンボーディングを支援し、馴染みのあるパターンに従う反復的なモデリング作業を自動化するAIアシスタントへの貴重な第一歩である」と、この研究には関わらず、新しいデザインソフトウェアツールを開発するAutodesk Researchの上級研究員であるMehdi Ataeiはコメントしている。「これは初期の基盤であり、複数のCADシステムにまたがる後継モデル、アセンブリや制約などのより豊かな操作、より現実的で混沌とした人間のワークフローが登場するのを楽しみにしている。」