August, 27, 2025, Lasanne--EPFLの研究者は、シングルフォトンカメラ利用に基づいて、数千の分子を迅速かつ同時に特徴付けることができる新しいイメージング方法を開発した。
この新しい方法は、35年前から存在しているイメージング技術に触発されたもので、分子の独特の発光シグネチャを10億分の1秒のスケールで超精密に測定する。それぞれがフォトンを検出できる100万個近くの小さなセンサで構成されるシングルフォトンアバランシェダイオード(SPAD)カメラを使用している。データを分析して、分子の蛍光寿命、つまり励起レーザパルスと分子から発せられる蛍光の間の非常に短い遅延を決定し、サンプル中の個々の分子を驚異的な精度で特徴付ける。
この方法は、EPFLのスピンオフPI Imaging Technologyが開発したカメラを使用して、ナノスケール生物学研究所(LBEN)が先端量子アーキテクチャ研究所(AQUA)の共同によりEPFLで開発した。これは、科学者が大きなサンプル中の特定の分子の挙動を研究できるようにするイメージング手順への第一歩となる。
より高速の分析法により、大きなタンパク質サンプルの迅速な分析が可能
従来のイメージング法とは異なり、LBENが開発したイメージング法は、励起パルスを受けた直後の特定の時点でピコ秒スケールの分解能で分子を検出する。これには、励起直後の画像と数ナノ秒後の画像という一連の画像を交互にキャプチャすることが含まれる。画像を分析して、分子の蛍光寿命を決定する。SPADカメラを使用すると、科学者は、既存の技術で必要とされる時間とは対照的に、何千もの分子に関する正確な情報を1分以内に取得できる。「われわれの方法は従来法よりも精度がわずかに劣るが、より高速で、前例のない数の分子を一度に検出できる」とLBENのAleksandra Radenovic教授はコメントしている。この高速化により、大きなタンパク質サンプルの迅速な分析が可能になる。
研究グループ間のチームワークが鍵
「われわれの研究は、EPFLのイメージングセンタとスイス国立研究プログラムによって支援されている。これは、新しいテクノロジーのタイムリーな融合のおかげで可能になった。われわれはAQUAのEdoardo Charbonと同氏のチームと10年以上協力してきたが、今ではわれわれのアイデアを具体的な結果に変えることができる」とRadenovicは話している。
高度な方法を設計するために、単一分子検出の専門家はカメラ開発を専門とするエンジニアと緊密に協力した。「たとえば、元のカメラが画像をキャプチャする周波数は、レーザパルスのペースと一致しなかった」と、LBENの科学者であるNathan Roncerayは言う。「しかし、AQUAの同僚とPi Imagingのエンジニアは、デバイスを適応させるために迅速に行動した」。ニッチ市場での技術の成功の鍵は、多くの場合、大学の研究室との共同R&Dであることを考えると、チームの有望な結果はPi Imagingにも利益をもたらす可能性がある。「また、Matteo Dal Peraroが率いるEPFLの生体分子モデリング研究所と、フリブール大学(University of Fribourg)のGuillermo Acunaが率いる研究グループとも協力した。彼らはそれぞれ膜タンパク質とDNA折り紙を研究している」とRoncerayは話している。
分子の相対位置を迅速に特定
研究チームの新しい方法が有効であることが証明されると、分子間の距離を検出するという別のアプリケーションの模索を開始した。チームは、フェルスタ(Förster)共鳴エネルギー移動(FRET)に基づく技術を作成した。これは、「アクセプター」分子が近くにある場合、「ドナー」分子の蛍光寿命が変化するメカニズムを指す。
「一対の分子の蛍光寿命を測定すると、わずか数nmのスケールで分子間の距離に関する情報が得られる。現在のアプローチは小さなサンプルにのみ適用可能だが、われわれのシステムはそれを拡張して、何千もの分子の動的現象を迅速に研究できるようにすることができる」(Ronceray)。
チームの発見は、科学技術のさまざまな分野にわたって刺激的な新しい道を切り開く。「どんな技術でもそうだが、その可能性を完全に予測することは難しい。おそらく想像力のみが限界を決めるだろう」とRadenovicは指摘している。有望な方向性の1つは、マルチプレックス分析、つまり1つのサンプルで複数のパラメータを同時に測定できる可能性があることである。これは、空間情報(組織内の細胞や構造の正確な位置)を保存しながら組織内の遺伝子発現を測定することを目的とした空間トランスクリプトミクスなどの分野で有用である可能性がある」。
この方法は、生涯を通じて多くの分子種を同時に読み取ることを可能にすることで、生物のさまざまな生物学的層を包括的かつ体系的な方法で、多くの場合細胞または分子規模で研究するために使用される、新しい高解像度オミクスツールを強力に補完するものとして機能する可能性がある。