August, 13, 2025, 東京--東京科学大学(Science Tokyo) 総合研究院 フロンティア材料研究所の伊澤誠一郎准教授、大阪大学 大学院工学研究科 附属フューチャーイノベーションセンターの相澤直矢助教(テクノアリーナ准教授)らの研究チームは、乾電池(1.5 V)1本をつなぐだけで光る、世界最小電圧で発光する白色有機ELの開発に成功した。
白色有機ELはテレビのバックライトや照明などで利用される発光素子。これまでの数多くの研究でEL発光の効率は向上してきたものの、白色発光を得るために要する電圧を低下させることができた例は少なく、最小でも2.5 V程度にとどまっていた。
研究グループの伊澤准教授らは、2種類の有機分子の界面におけるアップコンバージョン過程を利用することで、青色有機ELの低電圧化に成功してきた。今回、共同研究チームは、青色アップコンバージョン有機EL(UC-OLED)技術を応用し、同発光素子内に水色とその補色である黄色の発光色素を加えることで、乾電池1本相当の電圧である1.5 V以下で発光できる白色有機ELの開発に成功した。二種類の発光色素の添加割合を調整することで、白色を作り出す水色と黄色の発光割合をそれぞれの色素へのエネルギー移動速度でコントロールすることができた。発光色素の添加によりUC-OLEDの低い駆動電圧を損ねることなく発光色を制御できたことが、これまでで最も低い電圧で光る白色有機ELの開発につながったと考えられる。白色発光に要する電圧を低減できたことは、ディスプレイや照明などの発光素子の省電力化によるエネルギー利用効率の高い社会の実現に寄与することが期待される。
研究成果は、7月24日付(現地時間)の「Journal of Materials Chemistry C」誌に掲載された。
(詳細は、https://www.isct.ac.jp)