August, 1, 2025, Prague--CUNI(Charles University)化学物理光学科Martin Kozák准教授の科学者たちは、シリコンとダイヤモンドの純粋結晶で情報をエンコードして非常に短時間で読み取ることができる光学的方法を開発した。研究結果は、Nature Physics誌に掲載された。
現在のエレクトロニクスは、主にシリコンチップベースであり、情報は、電流を流す電子によって運ばれ、電荷の形で送信および処理される。しかし、最近、新しいアイデアが浮かび上がってきた。 電子の電荷だけでなく、その量子状態も利用し、それらが素材する伝導帯のエネルギー最小値(つまりvalley)によって決定される。
Martin Kozákのチームは、個々のバレー内の電子数を操作することでシリコンとダイヤモンドの純粋結晶で情報のエンコーディングと読取を可能にする光学的方法を開発した。
「量子論は、微視的な粒子が波のように振る舞えることをわれわれに教えてくれる。われわれの新しい方法は、 短パルスの形で赤外線を使用して結晶中の電子の量子状態を操作することに基づいている。ある方向でパルスの電場で電子を振動させると、逆空間として知られているように再配置されることが分かっており、またわれわれはその波ベクトルの方向をコントロールすることができることもわかっている。すると、それは情報ビットとして利用できる」とKozákは説明している。
シリコンは、 コンピュータマイクロプロセッサからソーラセルまで、あらゆるもので使用されるテクノロジー産業における最も重要な半導体である。何十年にもわたる研究にもかかわらず、これまではシリコン内の電子の量子状態を利用することができなかった、それを制御または検出する効果的な方法がなかったからである。これは、まさにKozák准教授のチームによって開発され、現在可能になっている。さらに、 この方法は、室温で、わずか数十フェムト秒(fs)で電子の状態を切り替えることができる。
この研究は、eWaveShaperプロジェクトの一部である。Kozák准教授は、2022年に名誉あるERCスターティンググラントを受賞した。この研究の目標は、光とパルスを用いて固体中の電子運動を超高速制御しイメージングする新たな手法を開発することである。
「残念ながら、電子は特定の波長ベクトルで非常に長い間、ある状態にとどまることはない。われわれの現在の目標は、 いわゆる電子の谷の分極化の下で材料と状態を特定することである。つまり、いわゆる電子のバレー分極が可能な限り長く続く限りにおいてである。したがって、この状態は、情報の転送と処理に利用できる」と今後の研究の方向性をKozákは説明している。