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3Dプリンティング法でマイクロエネルギー蓄積を改善

October, 28, 2024, Stockholm--ポータブル機器をよりコンパクトでエネルギー効率の高いものにするための鍵の1つは、エネルギー蓄積コンデンサの精密なナノスケール形状にある。KTHのMicroおよびNanosystemsの研究者は、独自の3Dプリンティング方法で課題を解決したと報告している。

KTH王立工科大学の研究者は、MSCが必要とする複雑なナノスケールの特徴を形成するために必要な複雑さと時間を軽減する、ガラスマイクロスーパーキャパシタ(MSCs)を製造するための3Dプリンティング方法を実証した。

この進歩は、自立型センサ、ウェアラブルデバイス、その他のモノのインターネット(IoTs)アプリケーションなど、よりコンパクトでエネルギー効率の高いポータブルデバイスにつながる可能性があると、KTHのマイクロおよびナノシステム教授Frank Niklausは話している。研究成果は、ACS Nano誌に掲載された。

この新しい方法は、このようなデバイスを製造する際の2つの主要な課題に対処する。MSCsの性能は、電気エネルギーを蓄え、伝導する電極によって大きく左右される。そのため、より多くの電極表面積が必要であり、迅速なイオン輸送を促進するためのナノスケールのチャネルが必要になる。KTHでの研究の筆頭著者、Po-Han Huangによると、新しい研究は超短レーザパルス3Dプリンティング技術で両方の課題に対処している。

研究チームは、超短レーザパルスが、ガラスのような前駆体である水素シルセスキオキサン(HSQ)で2つの同時反応を誘発できることを発見した。1つの反応は自己組織化ナノプレートの形成をもたらし、2番目の反応は前駆体をシリコンリッチガラスに変換し、これが3Dプリンティングプロセスの基盤となる。これにより、オープンチャネルを多く含む電極を迅速かつ正確に作製することができ、表面積を最大化し、イオン輸送を高速化することができる。

研究チームは、非常に迅速に充電および放電しても良好な性能を発揮するマイクロスーパーキャパシタを3Dプリントすることで、このアプローチを実証した。

「われわれの発見は、マイクロファブリケーションにおける大きな飛躍を表しており、高性能エネルギー貯蔵デバイスの開発に広範な影響を与えている。MSCs以外にも、われわれのアプローチは、光通信、ナノ電気機械センサ、5D光データストレージなどの分野でのエキサイティングな応用の可能性を秘めている」(Huang)。

この意味するところは、現在一般的に使用されている技術にとっても重要である。Niklausによると、非マイクロタイプのスーパーキャパシタは、ブレーキング時に発生するエネルギーをすでに収集し、家電製品の電力供給を安定させ、再生可能エネルギーのエネルギー回収を最適化している。「マイクロスーパーキャパシタは、これらのアプリケーションをよりコンパクトで効率的にする可能性を秘めている」とNiklausは、話している。