October, 16, 2024, 京都--京都大学電子工学専攻のKaur Jasleen 博士課程学生、向井佑 同助教、岡本亮 同准教授、竹内繁樹 同教授らの研究グループは、同グループが提案した「量子フーリエ変換赤外分光法」では、その分解能が励起光源の帯域幅によって制限されず、高分解能測定が可能であることを理論的に明らかにし、検証実験に成功した。
今後、化学反応などで時間的に高速に変化する赤外吸収スペクトルを、可視域の光源と検出器を用いたコンパクトで高感度に測定する新たな手法として期待される。
電子や光子といった個々の量子の振るまいや、複数の量子間の相関(量子もつれ)を制御することで、従来の計測技術の限界を超える量子センシングの研究が精力的に進められている。特に量子もつれ光を用いた「量子赤外分光」は、可視域の光源と検出器のみで赤外分光が可能になり、分光装置の大幅な小型化・高感度化・低コスト化が期待される技術として注目されている。励起光源にパルスレーザを用いることで、非常に高速に変化する現象に対しても量子赤外分光が適用できるが、これまでは量子赤外分光の分解能が、パルスレーザ光源の帯域幅によって制限されると考えられていた。
研究成果は、2024年10月7日に米国の国際学術誌「Physical Review Applied」にオンライン掲載された。
(詳細は、https://www.t.kyoto-u.ac.jp)