August, 27, 2024, Berlin--マックス・プランク協会のフリッツ・ハーバ研究所(Fritz-Haber-Institut)の物理化学部門の科学者チームは、ナノテクノロジーの分野における画期的な発見を、Advanced Materials誌掲載の最新の論文で詳述した。
「Spectroscopic and Interferometric Sum-Frequency Imaging of Strongly Coupled Phonon Polaritons in SiC Metasurfaces」と題された研究チームの論文は、ナノ構造とその光学特性の前例のない可視化を可能にする新しい顕微鏡法を紹介している。
ナノスケールで設計されたメタマテリアルは、天然に存在する材料には見られないユニークな特性を示す。これらの特性は、ナノスケールのビルディングブロックから生ずるが、これまでは光の波長よりもサイズが小さいため、直接観察することが困難だった。チームの研究は、これらの材料のナノ構造とマクロ構造の両方を同時に明らかにできる新しい顕微鏡技術を採用することにより、この制限を克服している。
ナノの世界への新たな窓
この研究の重要な発見は、従来の顕微鏡法では見るには小さすぎた構造の視覚化を可能にする方法論のブレークスルーである。革新的な方法で光を使用することにより、研究チームは、構造内に1色の光を「トラップする」方法を発見し、構造を離れることができる2番目の色と混合を利用して、このトラップされた光を視覚化する方法を発見した。この手法により、ナノスケールの光学メタマテリアルの隠された世界が明らかになる。
5年以上の開発期間
この成果は、フリッツ・ハーバー研究所の自由電子レーザ(FEL)のユニークな特徴を活かした5年以上にわたる研究開発の成果である。このタイプの顕微鏡法は、メタサーフェスをより深く理解することができ、レンズ設計などの技術の進歩への道を開く。究極の目標は、よりフラットで効率的な光学デバイス作製である。
フラットオプティクスの未来
メタサーフェスの理解を深めることで、この研究は新しい光源の開発とコヒレントな熱光源の設計への扉を開く。「われわれは、まだ始まったばかりだが、われわれの研究が平面光学の分野やそれ以外の分野にもたらす影響は計り知れない。われわれの技術は、これらのナノ構造の完全な性能を見ることができるだけでなく、それらを改良し、3D光学系を2Dに縮小し、すべてをより小さく、よりフラットにすることができる」と研究チームはコメントしている。