August, 15, 2024, Berlin--光線で微小粒子を操作するには、押すだけでなく引っ張る必要もある。しかし、このような光学的な「トラクタービーム」を作るほとんどの試みには、光を形作るために必要なデバイスの複雑さや、引っ張りに反応する粒子の種類など、限界がある。
現在、オーストラリアの研究チームは、トラクタービームを作成する簡単な方法を考案したと主張している:つまり、小さなシリコンメタサーフェス(ACS Photonics、doi:10.1021 / acsphotonics.4c00874)に通過させる。結果として得られる三重ラセンソレノイドビームは、同様の目標を持つ以前の実験よりも高い透過率で、回折は無視できるほどである。
トラクタービームの内部
光ビームからの単純な放射圧は、光が進行している方向に粒子を押し出すが、物体を光源に引き寄せるには、創意工夫と本格的なビーム成形が必要になる。過去10年ほどにわたるこれまでの取り組みでは、引力の生みの親として、ヘリカルビームとソレノイドビームに注目が集まってきた。ソレノイドビームは、2つ以上のベッセルビームを重ね合わせて、上流に粒子を引き寄せるラセン状のフィールドを形成する。
しかし、制限が生じている。「たとえば、ある方法では、レーザビームを時間内に変調する必要があった。別の方法では、屈折率の異なる材料間の界面に粒子が存在する必要があった」と、この研究の主任研究者、メルボルン大学のOpticaフェロー、Kenneth Crozierは話している。一部の実験では、空間光変調器を使用してソレノイドビームを作成したが、ハンドヘルドシステムやチップベースのシステムにはコンポーネントがかさばりすぎる。
その代わりに、Crozierとチームは、アモルファスシリコンピラーから構築された、厚さわずか約0.5µmの幾何学的相メタサーフェスを設計した。チームは、波長1064nmのNd:YAGレーザからの光をシングルモードファイバ、コリメータ、直線偏光子、および1/4波長板を介して送信し、円偏光ビームを作成した。チームは、これらの光線がメタサーフェスを通過すると、ラセン状に回転することを発見した。
Crozierによると、グループの最大課題は、干渉法を介してビームの2つの成分の軌道角運動量値を決定することだった。
今後の予定
メルボルン大学のチームは、メタサーフェスベースのトラクタービームが引っ張ることができる粒子サイズと質量の範囲をまだ研究していない。「光ピンセットは通常、直径10µmを超える粒子を捕捉するのが難しいため、トラクタービームにも当てはまる可能性がある」(Crozier)。
次に、研究チームは、メタサーフェスで生成されたトラクタービームが微粒子を引き寄せる能力をテストする。Crozierは、ビームの潜在的な用途の1つとして、マイクロ流体チップ内のセンサに粒子を引き寄せてサンプルアッセイを高速化することを提案している。トラクタービームは、細胞をすくい上げて組織生検の痛みを軽減することもできる。