January, 20, 2015, Villigen--ポールシェラー研究所(PSI)の研究チームは、微小な磁気構造をレーザ光を利用して切り替え、経時的にその変化を追跡することに成功した。この研究成果により、ハードドライブへのデータストレージがより速く、コンパクトに、効率的になる。
PSIの研究チームは、微小構造面とレーザビームの組合せを利用した。表面は磁性材料の微小な正方形の規則的配列でできている。正方形の一辺は、1㎜の千分の1~5。全ての正方形、その一部も微小な磁石と見なすことができ、ビットの蓄積が可能になる。
型破りのアプローチの第2段でPSIの研究チームは、レーザビームを使って正方形の磁気方位を反転させる。今日のハードドライブでは、磁気のスイッチング、つまりデータの蓄積は小型磁気ヘッドで行う。ヘッドがハードドライブをレコードプレイヤーの針のようにスライドする。
PSIの研究チームは、オランダ、ドイツ、日本のチームと協力した。2年前、この国際的な研究チームは、強力なレーザ短パルスが、磁気ヘッドよりも数100倍高速に微小な磁気をスイッチングすることを実証した。レーザの方が低エネルギーで、コスト効果も高い。その秘訣は、レーザ光が微小な磁石を素早く加熱して、それを別の状態に変換できることにある。「磁気スイッチングに光を使うことが有効であるのは明らかだ。しかしその精度は、まだ学会の議論のテーマである」とPSI研究長、Frithjof Nolting氏は説明している。
この磁気再編プロセスの理解を深めるために研究チームは時間分解計測を開発した。これにより、PSIのSLS(Swiss Light Source)からのX線照射を使って超光速の変化を一歩ずつ観察することができるようになる。動画の約6億倍のフレームレートのスナップショットを生成できる。
一連のショットで研究者は磁化の方向がどのように変わるかを観察することができた。つまり、微小な磁石の反転の仕方を観察した。
しかし磁気正方形は小さいので使用したレーザパルスが一度に多数の正方形を照射するが、全面ではなく、照射された正方形のサブ構造で磁気が反転する。
正方形のある部分では他の部分よりも多くのレーザ光を吸収し、これが磁気スイッチングがそこで起こった。
この実験に関わった研究チームの1人、Loïc Le Guyader氏は、「いずれ、これはもっと小さなハードドライブでさらに多くのデータを蓄積する方法になる」とコメントしている。