August, 6, 2024, 東京--芝浦工業大学工学部・李ひよん准教授(光波センシング研究室)らの研究チームは、ひずみ(伸び)や温度の分布情報を得るための光ファイバセンサにおいて、装置を追加することなく光源の変調振幅を見積もり、どの程度の細かい分布測定を行えるかを示す重要な性能指標「空間分解能」を正確に推定する新手法を開発した。
光ファイバ中で生じるブリルアン散乱を利用したひずみ・温度の分布センシング方式「ブリルアン光相関領域反射計」(以下、BOCDR)では、空間分解能を把握するために、光源における変調振幅の測定が必要不可欠。従来の測定では、高価で複雑な装置が必要だったが、今回、レイリー散乱を併用することで、追加の装置やシステムの変更を伴わずに変調振幅を見積もる方法を開発し、空間分解能の正確な推定が可能となった。この技術を活用することで、老朽化した、あるいは、地震等による被害を受けたインフラ施設を効率的に監視できるようになることが期待される。
研究チームは、BOCDRにおいて、光が波長よりも小さな微粒子によって散乱される「レイリー散乱」を併用し、変調振幅を、ひいては、空間分解能を間接的に正確に推定する手法を提案した。この手法では、レイリー散乱によって誘起されるノイズのスペクトル幅を分析し、光源の変調振幅を従来よりも正確に見積もる。BOCDRに対して、追加の装置やシステムの変更を必要としないのが特長。
今後の展望
空間分解能を正確に推定するためのこの手法は、装置の追加やシステムの変更を伴わないため、今後、BOCDRの普遍的な技術になることが期待される。結果として、老朽化・被災したインフラ施設の健全性診断の効率化が促進されると考えられる。
この研究成果は、「Scientific Reports」誌に掲載された。
(詳細は、https://www.shibaura-it.ac.jp)