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半導体テラヘルツ発振器の超高速振動ダイナミクスの計測と制御に成功

July, 8, 2024, 京都/大阪--京都大学大学院理学研究科 有川敬助教(研究当時、現:兵庫県立大学大学院工学研究科 准教授)、田中耕一郎教授(兼:高等研究院物質—細胞統合システム拠点 連携主任研究者)らの研究グループは、大阪大学大学院基礎工学研究科 西上直毅(研究当時:修士課程学生)、冨士田誠之 准教授、永妻忠夫 教授(研究当時、現:大阪大学産業科学研究所 特任教授)、ローム株式会社らとの共同研究で、共鳴トンネルダイオードを用いた小型の半導体テラヘルツ発振器から放射されるテラヘルツ電磁波の波形計測と制御に成功した。

近年の半導体微細加工技術の進展により、発振回路の周波数はエレクトロニクス技術の高周波限界領域であるテラヘルツ(1秒間に1兆回の振動)帯に達している。ところが、オシロスコープのような電子計測器ではこのような超高速振動を観測することはできず、その振動状態の変化(ダイナミクス)を計測し、制御することは困難だった。

研究グループは、光計測技術を応用することで、共鳴トンネルダイオードから放射されるテラヘルツ電磁波の振動電場波形を可視化し、そのダイナミクスを支配する基礎理論を明らかにした。これにより位相情報を用いた超高速・大容量無線通信やスマートセンシング技術の実現が期待される。

研究成果は、2024年7月2日午前10時(現地時間)に英国の国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)