May, 22, 2024, 東京--東京大学大学院工学系研究科精密工学専攻の大峰遼平大学院生、高橋哲教授、道畑正岐准教授、門屋祥太郎助教(研究当時)、増井周造特任助教らによる研究グループは、新しい光ピンセット技術「輪郭トラッキング光ピンセット(Contour-tracking optical tweezers, CTOTs)」を開発した。
研究では、従来の光ピンセットでは操作が難しい大きさと不規則な形状を持つポリスチレン粒子に対して、画像処理で抽出した輪郭に沿って集光ビームを走査することで、安定したトラッピング(捕捉)を実現した。この成果は、生物学、ナノテクノロジー、コロイド科学など広範な分野での応用が期待される。
研究成果は、2024年5月13日(米国東部夏時間)にOPTICA(米国光学会)が発行する科学誌「Optics letters」のオンライン版に掲載された。また、同日公開予定のOPTICAのNews Releasesに取り上げられた。
発表のポイント
・リアルタイムで粒子の輪郭に合わせた光の照射パターンを形成する、新たな輪郭トラッキング光ピンセット(CTOTs)という技術を開発。
・従来の光ピンセットでは困難だった50µmを超える歪なプラスチック粒子の捕捉を実現。
・この技術は、微生物の自然環境下での観察やマイクロプラスチックの分析など、様々な応用が期待される。
研究成果は、光ピンセット技術の新たな可能性を示すものである。この手法により、従来の光ピンセットでは扱うことのできなかった多様なサンプルの操作が可能になる。特に生きたままの微生物の姿勢を制御して観察・分析したり、環境汚染で問題となっているマイクロプラスチックなどのサブmm程度の歪なサンプルの操作など、新たな応用領域での利用が期待される。
(詳細は、https://www.t.u-tokyo.ac.jp)