May, 17, 2024, 筑波--筑波大学は、走査電子顕微鏡とフェムト秒レーザを組み合わせ、物質の瞬間的な状態を観察できる超高速時間分解走査電子顕微鏡計測装置を開発した。
これを用いて、半導体GaAs(ガリウムヒ素)基板のデバイス上での金属電極の周囲の電位変化の様子を、43 ピコ秒の時間分解能で可視化することに成功した。
今日の社会を支えているさまざまな電子デバイスは、年々その動作速度が向上し、5Gバンドの次の世代(Beyond 5G)を想定したデバイス開発研究が活発に行われている。このような次世代の超高速半導体デバイスを開発するためには、デバイス内での電位や電子移動などの様子を精密に計測し、デバイスの動作状況を客観的に理解することが不可欠である。
研究グループでは、この課題に対して、走査電子顕微鏡(SEM)とフェムト(1000兆分の1)秒レーザを組み合わせ、デバイス材料内の電位変化を高い時間分解能で計測する手法を開発した。これを用いて、半導体GaAs基板上に形成した光伝導アンテナデバイス上の金属電極周囲の電位変化を計測し、43 ピコ秒(ps)の時間分解能でSEM画像として観察することに成功した。これは5G通信でよく使われる周波数帯よりも広い23 GHzの帯域で電気回路の性能を測定できることに相当する。
この技術により、電位が動的に変化するようなデバイス構造において、任意の点の電位変化を、非接触で高速、かつ立体的に計測することが可能となり、次世代デバイス開発のための重要な計測ツールとして貢献すると期待される。
(詳細は、https://www.tsukuba.ac.jp)