May, 1, 2024, 東京--日本電信電話株式会社(NTT)は、用途ごと・設置場所ごとに異なる様々な種類の光ファイバにおいて、通信断を生じさせることなく分岐・合流させる施工技術を世界で初めて実証した。
この成果により、通信事業者における設備構築コスト削減・工期短縮等が期待できる。今後、急速な利用拡大が想定されるIoT機器等の増加に対して、柔軟に対応可能となるなど、ユーザの利便性向上も期待される。
技術課題
世界的に広く使われている光ファイバは、多様な屈折率分布を有しており、それぞれ伝搬特性(実効屈折率)が異なる。
これらの光ファイバを分岐させる従来技術においては、分岐元の光ファイバと分岐先の光ファイバとで同じ伝搬特性(実効屈折率)である必要があった。そのため、分岐元の光ファイバの実効屈折率を現地で把握し、それに適した分岐用光ファイバを用意する必要があった。ところが、実効屈折率の把握を行うためには、分岐元の光ファイバをサービス停止する必要があるため、現実的には困難な状況だった。
以上のような背景から、通信中の光ファイバがどのような実効屈折率を有している場合であっても、分岐を可能とする技術の確立が課題となっていた。
開発成果の要点
開発成果では、コア直径を変化させた構造を有する分岐用光ファイバの作製方法を開発した。実効屈折率は、コア直径により変化するため、同構造の光ファイバは、多様な実効屈折率を有する光ファイバとして使うことが可能である。これを分岐用光ファイバとして使用することで、分岐元光ファイバの実効屈折率がどのような場合であっても、光ファイバを分岐することが可能となる。NTTは、この光ファイバを作製する技術、ならびにこれを用いた分岐を、世界で初めて実証した。これにより分岐可能な光ファイバの範囲を従来と比べて大幅に拡大し、光アクセスネットワークで一般的に使用されている国際標準規格を満たすすべての光ファイバを分岐・合流することが可能となった。
(詳細は、https://group.ntt/jp)