April, 18, 2024, Waterloo--ウォータールー大学(University of Waterloo)の量子コンピューティング研究所(IQC)の研究者は、量子通信の分野を前進させるために、ノーベル賞を受賞した2つの研究コンセプトをまとめた。
科学者は、量子ドット源からほぼ完全なエンタングルド光子ペアを効率的に生成できるようになった。
エンタングルド光子は、遠く離れていてもつながったままの光の粒子であり、2022年のノーベル物理学賞は、このトピックに関する実験を認めた。IQCの研究チームは、2023年にノーベル化学賞を受賞した技術である量子ドットとエンタングルメントを組み合わせることで、IQC研究チームは、エンタングルフォトン生成の最適化を目指した。これは、安全な通信を含め幅広いアプリケーションを持つ。
「高度なエンタングルメントと高効率の組み合わせは、量子鍵配送や量子リピータなど、エキサイティングなアプリケーションには必要である。これらは、安全な量子通信の距離を地球規模に延長したり、遠隔地の量子コンピュータをリンクしたりすることが想定されている」と、IQCおよびウォータールー大学電気・コンピュータ工学科の教授、Dr.Michael Reimerはコメントしている。「これまでの実験では、ほぼ完璧なエンタングルメントか高効率のいずれかしか測定できなかったが、量子ドットで両方の要件を達成したのはわれわれが初めてである」。
研究チームは、半導体量子ドットをナノワイヤに埋め込むことで、これまでの研究よりも65倍も効率的に、ほぼ完全にエンタングルしたフォトンを生成する光源を実現した。オタワのカナダ国立研究評議会と共同で開発されたこの新しい光源は、レーザで励起し、指令でもつれたペアを生成することができる。次に、研究者らは、オランダのSingle Quantum社が提供する高分解能の単一光子検出器を使用して、エンタングルメント度を高めた。
「歴史的に量子ドット系は、エンタングル状態が時間とともに振動する微細構造分裂という問題に悩まされてきた。つまり、低速検出システムで測定すると、エンタングルメントが測定されない」と、IQCとウォータールー大学電気・コンピュータ工学科のPh.D学生、Matteo Pennacchiettiは話している。「われわれは、量子ドットと非常に高速で正確な検出システムを組み合わせることで、これを克服した。基本的には、振動中の各ポイントでエンタングルド状態がどのように見えるかのタイムスタンプを取得でき、そこで完璧なエンタングルメントが得られる」。
将来の通信アプリケーションを紹介するために、Reimerと Pennacchietti は、ウォータールー大学の物理学・天文学部の IQC の教員兼教授である Dr.Norbert Lütkenhaus とDr.Thomas Jennewein 、およびそのチームと協力した。研究チームは、新しい量子ドットエンタングルメント源を用いて、量子鍵配送として知られる安全な通信方式をシミュレートし、量子ドット源が安全な量子通信の将来に大きな可能性を秘めていることを証明した。