April, 8, 2024, 東京--理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センター 量子複雑性解析理研白眉研究チームの桑原知剛 理研白眉チームリーダー(開拓研究本部 桑原量子複雑性解析理研白眉研究チーム 理研白眉研究チームリーダー)、ヴー・バンタン 特別研究員、京都大学 理学部の齊藤圭司 教授の共同研究チームは、相互作用するボーズ粒子系において量子もつれが伝達する速度の限界を理論的に解明した。
今回の研究成果は、多数のボーズ粒子が相互に作用することで生じる量子力学的な動きを理解する上で新しい洞察を提供すると同時に、量子コンピュータを含む情報処理技術における根本的な制約を解明することにも寄与すると期待される。
量子力学で現れる最も基本的な粒子であるボーズ粒子が相互作用を通じてどのくらいの速さで量子的な情報を伝達できるのか、という問題は長年未解決だった。
共同研究チームはリーブ・ロビンソン限界と呼ばれる概念を考察し、情報伝達速度の持つ限界を理論的に解明した。その結果、もう一つの基本粒子であるフェルミ粒子と異なり、ボーズ粒子は情報伝達の加速という現象を起こすことを明らかにした。この結果を用いて、相互作用するボーズ粒子を量子コンピュータ上でシミュレートする精度保証付きの手法を新たに開発した。
研究成果は、科学雑誌『Nature Communications』オンライン版(3月21日付)に掲載された。
(詳細は、https://www.riken.jp)