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オープントップライトシート顕微鏡に掃引照明を追加

April, 5, 2024, Washington--ワシントン大学の研究者は、スエプト照明光源をオープントップのライトシート顕微鏡に組み込み、より広い視野で光学セクショニングを改善した。この進歩により、この技術は非破壊3D病理学においてより実用的になる。

3D病理学は、組織を変化させることなく病理学的構造と細胞相互作用に関する詳細な3D洞察を提供できるため、従来のスライドベースの組織学の代替として研究されている。このアプローチにより、スライドベースの方法では不可能な複雑な3D組織構造の解析や厚い組織のイメージングが可能になる。

ワシントン大学の研究チームは、改良されたオープントップライトシート顕微鏡を使用して、高密度にラベル付けされた臨床検体の画像を撮影し、非破壊3D病理学の可能性を示した。
ワシントン大学のKevin W. Bishopは、2024年4月7日~10日までフロリダ州フォートローダーデールで開催されるOpticaのBiophotonics Congressで、研究の詳細を説明する。同氏のプレゼンテーションは、4月9日(火)13:45 – 14:00 EDTに予定されている。

「前立腺ガンなどの特定の疾患では、どの患者が積極的な治療を必要とし、どの患者が積極的な治療を必要しないかを判断するのは難しい場合がある。3D情報は最終的に臨床医が各患者に最適な治療方針をより適切に決定するのに役立つ」(Bishop)。

オープントップライトシート顕微鏡は、透明または半透明になるように処理された蛍光標識組織の3D画像を迅速に取得するために使用される。一般的なセットアップでは、フラットベッドドキュメントスキャナのように、固定された薄いライトシートを使用してサンプルを下から照らし、画像化する。これにより、他の3Dイメージングアプローチ(共焦点顕微鏡など)よりもはるかに高速で、広い領域の高解像度イメージングが可能になる。

この顕微鏡技術では多くの種類の標識を使用できるが、3D病理サンプルは通常、従来の組織学スライドで使用されるヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色を模倣した色素を使用する。このタイプの染色は、高度に標的を絞った染色よりもはるかに密度が高いため、顕微鏡の光学セクショニング機能(3Dサンプル内の薄片を視覚化する能力)が、良好な画質を達成するための鍵となる。

照明の開口数を高くすることで、より良いセクショニングが可能になるが、焦点深度が短くなり、システムの使用可能な視野が狭くなる。この課題を克服するために、研究チームは、軸方向にスイープされた照明アームを組み込んだ新しいオープントップライトシート顕微鏡を開発した。

固定ライトシートを使用した以前の顕微鏡設計と比較して、新しいシステムは、体積イメージング速度を損なうことなく、視野を4倍にし、光学セクショニング能力を2倍にした。チームは、高密度に標識された透明なマウスの腎臓を画像化することにより、その有用性を実証した。また、さらに、臨床組織から他のデータセットも取得し、最適化されたシステムが3D病理学研究に必要な画質と視野を提供できることを示した。

「われわれは、このプラットフォームを使用して、3D病理学が臨床に最も大きな影響を与えることができる場所を理解するのに役立つ大規模な臨床試験を実施することを計画している」とBishopはコメントしている。