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既存の光ファイバ伝送で、伝送容量と周波数帯域の世界記録達成

April, 4, 2024, 東京--情報通信研究機構(NICT)フォトニックネットワーク研究室を中心とした国際共同研究グループは、光ファイバ伝送で世界最大の37.6THzの周波数帯域を活用し、378.9Tb/sの伝送実験に成功し、既存光ファイバの伝送容量の世界記録を達成した。

今回は、商用の長距離光ファイバ伝送システムで利用されている波長帯(C帯、L帯)に加え、今後の利用が期待される波長帯(O帯、E帯、S帯、U帯)を活用したマルチバンド波長多重技術により、大容量化を図った。さらに、各波長帯に最適な光増幅方式を活用して全波長帯に対応した光ファイバ伝送システムを開発し、大容量伝送実験に成功した。今回の技術は、通信需要が高まる将来において、光通信インフラの通信容量拡大に大きく貢献することが期待される。

この研究成果の論文は、米国サンディエゴにて開催された第47回光ファイバ通信国際会議(OFC 2024)にて非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Postdeadline Paper)として採択され、現地時間2024年3月28日(木)に発表した。

今回の成果
NICTは、O帯、E帯、S帯、C帯、L帯、U帯を合わせて世界最大の37.6THzの周波数帯域幅、1,505の波長数を使用可能にしたマルチバンド波長多重技術をベースとした光ファイバ伝送システムの設計・構築を行った。伝送システムは、光ファイバ、光増幅器、送受信器、光スペクトル整形器、合波器/分波器などから成る。
国際共同研究グループが製作したO帯向けビスマス添加ファイバ光増幅器やU帯ラマン増幅器、O帯・U帯用の光スペクトル整形器など、各波長帯に対応した光ファイバ増幅器・光スペクトル整形器を駆使し、光ファイバの波長特性に合わせて全波長帯の光信号強度を最適設計し、378.9Tb/sの波長多重信号の50 km伝送を達成した。
信号の変調には、情報量が多い偏波多重QAM方式を使用し、16QAMをO帯、64QAMをE帯、U帯、256QAMをS帯、C帯、L帯に使用した。過去の成果(2023年10月)と比較して、伝送容量25%、周波数帯域幅35%の増加を達成し、それぞれ既存の光ファイバ伝送における世界記録を更新した。

(詳細は、https://www.nict.go.jp