March, 13, 2024, London--UKの研究者らは、皮膚がんを非常に高感度で検出できるテラヘルツ波(THz)を使用した革新的なバイオセンサを開発した。これは早期かつ簡単な診断への道を開く可能性がある。IEEE Transactions on Biomedical Engineeringに掲載されたこの研究は、Queen Mary University of Londonと University of Glasgowの学際的チームの協力により、ガンの早期発見における大きな進歩を示している。
「皮膚ガンを検出する従来の方法では、多くの場合、高価で時間のかかるCT、PETスキャン、および侵襲的な高周波技術が必要になる。われわれのバイオセンサは、非侵襲的で高効率なソリューションを提供し、THz波(X線よりもエネルギーが低く、人間にとって安全な放射線の一種)のユニークな特性を利用して、細胞特性の微妙な変化を検出する」と、Queen Mary’s School of Electronic Engineering and Computer Scienceのポスドク研究員、この研究の筆頭著者Dr Shohreh Nourinovinは説明している。
重要なイノベーションは、バイオセンサの設計にある。フレキシブル基板上に小型の非対称共振器を搭載し、細胞の特性の微妙な変化を検出することができる。屈折率のみに依存する従来法とは異なり、このデバイスは、共振周波数、透過の大きさ、および「半値幅全幅」(FWHM)と呼ばれる値などのパラメータの組み合わせを分析する。この包括的なアプローチにより、組織のより豊富な画像が得られ、健康な細胞とガン細胞をより正確に区別し、組織の悪性度を測定できる。
試験では、バイオセンサは、濃度が異なっていても、正常な皮膚細胞と基底細胞ガン(BCC)細胞を区別することに成功した。早期ガンを発見するこの能力は、患者の転帰を改善する大きな可能性を秘めている。
「この研究の意義は、皮膚ガンの検出をはるかに超えている。この技術は、様々なガンやアルツハイマー病などの病気の早期発見に使用でき、携帯性と手頃な価格により、リソースが限られている環境での応用が期待できる」(Nourinovin)。
Dr Nourinovinの研究の旅には、課題がなかったわけではない。当初はガン分析のためのテラヘルツ分光法に焦点を当てていたが、COVID-19のパンデミックによりプロジェクトが一時的に停止した。しかし、この挫折をきっかけに、THzメタサーフェスの可能性を探るようになり、同氏の研究に新たな章が開かれる斬新なアプローチとなった。
グラスゴー大学James Watt School of Engineering通信センシング&イメージングハブの共同ディレクタQammer H. Abbasi教授は、「THzイメージング技術をこの種の柔軟でポータブルで再利用可能なセンサに統合することで、ガン検診を患者にとってより迅速で快適な手順にすることができる。われわれは、この画期的な技術の可能性を将来の共同研究で構築できることを喜んでいる」とコメントしている。
「当初は困難だったが、この技術がもたらす潜在的な影響がわれわれのモチベーションを維持してくれた。このバイオセンサは、様々なガンの早期発見と介入を可能にすることで、数え切れないほどの命を救う可能性があると信じている」と、Queen Mary大学のアンテナ&電磁気学研究グループの責任者、Akram Alomainy教授はコメントしている。